素晴らしい。素晴らし過ぎてぐうの音も出ない。「本所七不思議」と言うのがあり(私は「置いてけ堀」しか知らなかったが)、それをテーマに書かれた短編集。回向院の茂七からこの本へ来たのだけど、茂七は通して出てくるが、バイプレーヤーだ。どの話もきちんと七不思議に絡んでいて、江戸時代に生きる人々の気持ちが立ち上がって見えるかのように書かれている。解説で「物語作家」と宮部みゆきを表しているが、正にその通りで、あっという間に物語に連れ去られてしまう。巧いったらない。
親がいなかったり、片親で貧しかったり、夫に早く死に別れたり、大変な思いで生きてる子供や弱い人々。その対局にいる裕福な人々。うまく七不思議に絡めて、生きる希望を与えてくれる。今も昔も結局変わらないのだ。
読書状況:読み終わった
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文庫
- 感想投稿日 : 2021年5月8日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2021年5月8日
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