卒業試験目前に両親を事故で亡くし、父と一緒に獣医として働くはずだった人生がバラバラになり、失意のうちに衝動的に列車に飛び乗ると、それはサーカスの移動列車だった。ポーランド系のジェイコブ・ヤンコフスキの波乱の人生を、サーカスという一種のアウトサイダーの集団でのサバイバル模様を通して描いたお話。晩年、老いて施設に世話になりながら回想するジェイコブの現在と、回想シーンとが交互に書かれ、見世物小屋の延長線上にあるような、ちょっといかがわしいサーカスの独特の雰囲気もうまく出ていて、おもしろかったです。サーカスの話はジェイコブの青春の話なのですが、団員や裏方スタッフたちの家族との複雑な関係や、老いた後のジェイコブの思想などは、青春ばかりではない人生のややこしさがテーマになっていて、奥行きがありました。堪能して読了。映画化されているようです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ジンセイ
- 感想投稿日 : 2012年5月3日
- 読了日 : 2012年5月2日
- 本棚登録日 : 2012年5月3日
みんなの感想をみる