ジェーン・エア(下) (新潮文庫)

  • 新潮社 (1954年1月12日発売)
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本棚登録 : 894
感想 : 66
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カズオ・イシグロが影響を受けた作家、作品にブロンテの『ジェーン・エア』を挙げていたこと、先日読んだ『イノセント・デイズ』の主人公・田中幸乃が中学時代にこの本を読んでいたのがとても印象的で、どんな本なのか興味を持ち、読み始めた。

とても面白かった!
上下巻でぎっしり書き込まれているので一気読みというわけにはいかなかったけど、じっくり毎日共に歩ませてもらった感じ。
ジェーンの冷静さ、真面目さと、恋心による揺らぎと、ときめきと情熱と、描かれ方のバランスがとても良かった。ロチェスター氏とのやりとり場面は甘々すぎてこちらも照れちゃうくらい。
離れてみて、他人と一緒にいて再確認した、二人の時の安心感、自然体のペースまで描かれていて、甘々というだけでない愛のお話に感じた。(ロチェスター氏のデレデレ具合にはおいおい…と思うところもあったけど。笑)

この作品を読みながら、たしかにカズオ・イシグロを思い出し、特に『日の名残り』を読み返したくなった。内容は勿論全く違うけど、地に足ついた現実と、胸の中の情熱との書き方のバランスがとても似ていて。内と外が心地よい文章。
『イノセント・デイズ』については、このお話を幸乃が読んでいたということで改めて切なく感じてしまった…。


読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年1月21日
読了日 : 2022年1月15日
本棚登録日 : 2022年1月15日

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