三四郎 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1948年10月27日発売)
3.55
  • (373)
  • (670)
  • (1108)
  • (110)
  • (28)
本棚登録 : 8336
感想 : 627
5

夏目漱石を読んで、3作品目。
相変わらず、言い回しが私には美しく感じました。
特に広田先生が、夢を語る場面の言葉が好きです。『あなたは詩だと云った。』
広田先生の雰囲気も、たまらなく好きです。

一方、奔放な明るさで、法螺すらも愉しくて、
何だかもうしょうがないなぁって思えてしまう、
与次郎のキャラクターも魅力的です。

なぜ与次郎は、広田先生に傾倒しているのだろう。
まるで正反対だから惹かれるのかも知れないが、
広田先生が積極的世に出ていく人であれば、
彼にとっての情熱のようなものになり得ないのではないか、とか。

割りと世話焼きな与次郎君。
彼の熱は、自分の裡になく、常に外向きな気がします。
だからこそ、色々な物事に奔走するのでしょうか。
私はそんな与次郎が一番愛しく思えちゃいましたが。

主人公の三四郎は、
客観的な存在であったように思います。
中庸に居るような。
広田先生に近付けば、ある種の静寂さを纏うような。
与次郎と交われば、ふわりと軽快になるような。
まだ染められていない、薄い生地みたいな人でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年5月13日
読了日 : 2020年12月19日
本棚登録日 : 2017年5月1日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする