村上さんのところ

著者 :
  • 新潮社 (2015年7月24日発売)
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本棚登録 : 1822
感想 : 216
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 サラリと流し読みしようと思ったのに…思わず夢中で読んでしまった。面白かったです。
 質問者の幅広さが、読者層の広さを感じさせる。年代も性別も職業も国籍もさまざま(体感として教職の方が多く感じたけれど)。
 若くして日本や世界の未来を憂いている人も多くて(やはり読書が好きな人は物事を深く考えているのかもしれない)、そんな若者がたくさんいることが何だか頼もしくも思えて。一方で、大人(特に私くらいの世代)は何だかくだらない質問も多く…。村上さんは、どれに対しても真摯に、時に皮肉を交えて回答しています。

 特に好きな回答はこれ。
「猫なんて自分の見たいところしか見ていませんよね。前も後ろも、右も左もありません。猫に学びましょう。人生の大事なことはだいたい猫から学べます。」

 そのほか膝を打つような言葉はこのへん(要約済)。
・生産性の高いものばかり追求していると、人間がだんだん薄くなる
・自分の心の痛みと、まわりの人々の心の痛みとを、等価とまではいかずとも、ある程度密接に連動させて考えられるようになることが大人の証ではないか
・愛よりは憎悪が、理性より怒りが簡便に言語化できる。ポジティブなことよりネガティブなことが人の心に直接的に訴えかけやすい。社会が品位を失い、既成の事実として人々に受け入れられることこそ怖いこと

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ・対談集
感想投稿日 : 2018年8月31日
読了日 : 2018年8月30日
本棚登録日 : 2018年8月30日

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