小澤征爾さんと、音楽について話をする

  • 新潮社 (2011年11月30日発売)
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小澤征爾さんが亡くなられた時の、村上春樹さんの寄稿文。親友というより家族、いや自分の一部を無くしてしまったような哀しみが伝わってきた。

インタビューと言うより二人のクラシック音楽を仲立ちにした音楽&人生談義である。
村上春樹さんはジャズおたくだと思っていた。それは間違いだった。クラシックを含む音楽おたくだった。おたくは適切ではない。音楽は、村上さんの身体、生活の一部であり、理解も限りなく深い。たぶん、リズムとメロディが染み込んでいるのだろう。
文章を書くうえで、音楽からリズムを学んだという村上さん。そういえば、長編もリズミカルな文章と独特な比喩にひきこまれ、あっという間に最後まで読んでしまっでいる。
小澤さんの演奏に対する感想も、素人のそれではない。系統的に注意深く聴き込み、味わったものの感想だ。村上春樹、恐るべし。
小澤さんに影響を与えた「カラヤン先生」とバーンスタイン。そして齋藤秀雄先生。小澤さんの骨格は齋藤先生からできている。
スイスで若手音楽家にセミナーを開き、ロバート・マンさんと指導する章が圧巻だ。
「ネジを締める」という追悼文の言葉も出てきた。小澤さんのマジックと若手音楽家のスパークで、弦楽四重奏が変容していく。そのさまを村上さんが、如実に文章で描いていく。
二人の天才のスパーク、面白い!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 村上春樹
感想投稿日 : 2024年2月18日
読了日 : 2024年2月19日
本棚登録日 : 2024年2月18日

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