普通だったらレオが殺人犯を追い詰めるのにドキドキするはずなのに、ソ連では事件を捜査していることがバレたら国家に対する反逆者になってしまうので、当局対レオの関係にずっと手に汗握りっぱなしだった。理想の国家に犯罪は存在しないから。そのせいで被害者が増え続けるとは、なんて皮肉なんだろう。
しかし刷り込まれて恐怖に支配された信念を壊すのは簡単じゃないはずで、それはレオの内心の葛藤から伝わってくる。だけどそんな葛藤は敵対する元同僚のワシーリーには見えないから、勝手に新しい信念でもって行動するレオに苛立ちを覚えたんだろうか。そのくせ逃げられているほうが生き生きするなんて、屈折してるな嫌いじゃないよ、と思ったんだけど。
犯人が連続殺人を行う意味や、ソ連という国家についても、読みごたえがあって面白かった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ミステリー・サスペンス
- 感想投稿日 : 2021年3月14日
- 読了日 : 2021年3月14日
- 本棚登録日 : 2021年3月14日
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