調香師の卵であった恋人の弘之が、“記憶の泉”と名付けられた香水を残して突然亡くなる。
一緒に暮らしていたフリーライターの涼子は、どうしても彼の自殺の理由が知りたくて、幻影を追い求めるように彼の過去を辿っていく。
淡々として美しく、上品な雰囲気で、外国の映画を観ているようだった。
スケート、数学、物事を分類する能力など、静かな物語の中に隠された彼の秘密を知るたびにどきどきしてしまう。
プラハでの不思議な体験はまるでファンタジーのようで、街の風景が頭の中で映像のように映し出され、いつまでも浸っていたくなった。
優しいため息をついてしまいたくなるような、みごとな結末だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小川洋子
- 感想投稿日 : 2023年2月23日
- 読了日 : 2023年2月23日
- 本棚登録日 : 2023年2月23日
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