かもめのジョナサン (新潮文庫 ハ 9-1)

  • 新潮社 (1977年6月1日発売)
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本棚登録 : 4130
感想 : 564
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おもしろかったのですが、なんだかずっともやもやしながら読んでいました。
そのもやもやの正体が訳者あとがきに書かれていて納得。
食べることとメスのカモメ、つまり性愛に関することが排除されて、男性の友情や師弟関係のみに焦点が置かれていることに不自然さを感じていたのです。
カモメという野生の生き物の物語として語られるから余計に、生きて命をつないでいく本能の部分が描かれないことに引っかかってしまいました。
けれど、そんな本能も振り切って、ただただ飛ぶ歓びを突き詰めていったジョナサンだから、普通のカモメには辿り着けない境地に至ることができた、とも言えるのか。

ジョナサンがさまざまな飛行技術を試して研究を重ねていくシーンには、ひとつのことを極限まで追求するわくわく感をはらんだストイックさを感じました。
でもフィジカルって大事だから、ちゃんと食べてちゃんと寝てコンディションを整えるのも必要では…とも、やはり思ってしまう。
求道者について、頭の中であれこれ堂々巡りを繰り返しつつ読了。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 読みました。
感想投稿日 : 2023年11月2日
読了日 : 2023年9月9日
本棚登録日 : 2023年11月2日

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