かぜまち美術館の謎便り

著者 :
  • 新潮社 (2014年11月21日発売)
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本棚登録 : 374
感想 : 69
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香瀬町で生まれ育ち、町の保育園で働きながら父と2人で暮らすカホリ。
そんな彼女の家の隣に、町の外から父と娘が越してきました。
町の美術館の館長として赴任してきた佐久間と、彼の5歳の娘・かえで。
ふんわりとした独特の雰囲気をまとった親子が、18年前に香瀬町で起こった不可解な出来事の謎をほどいていきます。

今回は絵画の解体がテーマです。
18年前に謎の死を遂げたカホリの兄は、有名な絵画を下敷きに香瀬町の風景や人々を描いていました。
兄の絵と芸術家の絵、両方の作品の解体は、やがて隠された過去の真実にたどり着きます。

すべての謎が解けたとき、明るみに出た真実の不愉快さにお腹のあたりがもやもや。
でも、切ない気持ちを清い風がさらっていくようなエピローグがすてきで、明るい気持ちで読了しました。
また、さまざまな芸術家の作品の解体により、作品を観る角度が変わるおもしろさも本作の魅力です。
特にシャガールの解体が新鮮でした。

著者が描くちびっこが、とてもかわいらしいです。
今後の成長が楽しみな女の子だな~。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 読みました。
感想投稿日 : 2015年3月7日
読了日 : 2015年3月2日
本棚登録日 : 2015年3月7日

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