縁あって作家の村松氏のもとで暮らすことになった猫との出会いから別れまでを綴ったエッセイです。
しわがれた声で鳴くので、「ヨーロッパあたりの波止場の酒場でアブサンで喉を嗄らした、ちょいとそそられる女」から連想してアブサンと名づけられました。(オスでしたが…)
「アブサン」がフルネームなのですが、なんだか「〇〇さん」と"さん"付けで呼ばれているような風情もあって、ほっこりします。
村松氏は幼い頃に猫を飼った経験がありますが、奥さんは猫を飼うのは初めてです。
猫がゴロゴロ喉を鳴らす音を「怒っている」と思って戸惑っていた猫初心者の奥さんに、経験者として優位な発言をしていた村松氏。
ですが、あっというまにアブサンと奥さんは仲良くなり、"経験者の優位"が通用しなくなるのがほほえましかったです。
会話を読んでいるだけでも素敵なご夫婦であることが伝わってきました。
「第十三話 太陽と風と自然体」に私が猫を愛する理由が凝縮されているように感じました。
「見事な自然体を見せてくれて、時には人生の師とも見える佇まいをあらわす伴侶」…本当にそのとおりだと思います。
アブサンの最期に目を潤ませつつ、目の前でのんきな顔してくつろぐ我が家のにゃんこに改めて愛しさを感じながら読了。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
エッセイ。
- 感想投稿日 : 2019年3月13日
- 読了日 : 2019年3月4日
- 本棚登録日 : 2019年3月13日
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