英語の勉強のために多読用テキストを読んだことはありましたが、翻訳書をちゃんと読むのは初めてです。
2人の主人公を取り巻く友人たちや乳母の会話が、思った以上に世俗的で卑猥であることに驚きました。
パリスとの結婚を断ったジュリエットに対する、父キャピュレットの罵りようもひどい…。
そういった猥雑さや、両家の対立が生む暴力の中に置かれるから、ロミオとジュリエットの悲恋がより際立つのですね。
好きな相手と秘密の結婚をした直後、親の勝手に決めてきた縁談を断ったら両親からひどい言葉で責められた挙句「我が子とは認めない」と言われた。
そんな状況におかれたら、現代ならさっさと駆け落ちするという選択もあるけれど、ジュリエットは謎めいた秘薬を飲んで仮死状態になることを選びます。
当時はそれがあたりまえだったのかもしれませんが、彼らを縛っていた"家"の力をより強く印象づけられたエピソードで、当時の恋愛の不自由さにもどかしくなりました。
余談ですが、ちくま文庫のシェイクスピア全集はカバー装画が安野光雅さんなのが嬉しいです。
本書カバーの左側の人(ティボルトでしょうか?)の衣装が気になります。
そでが魚になっていて、その口から手が出るようになってる…。
じわじわ沁みてくるユニークさと描かれたシーンのシリアスさのギャップにくらくら。
読書状況:読み終わった
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読みました。
- 感想投稿日 : 2018年10月17日
- 読了日 : 2018年10月4日
- 本棚登録日 : 2018年10月17日
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