谷崎潤一郎と言えば、言わずとしれた文豪。
恥ずかしながら、28歳にして初めて読んだ。それがこの「細雪」だった。
最初こそ文章に少しだけ難解さを感じた。けれど同じ言い回しが頻出するので、慣れてくるとスラスラと読めてしまう。例えば「入ってくる」は「這入ってくる」と書かれるのだけど、読みすすめる内にルビ無しでも読めている自分がいた。
内容はと言えば、果たして、面白かった。
あらすじはこの通り。
> 大阪船場に古いのれんを誇る蒔岡家の四人姉妹、鶴子、幸子、雪子、妙子が織りなす人間模様のなかに、昭和十年代の関西の上流社会の生活のありさまを四季折々に描き込んだ絢爛たる小説絵巻。
なるほど。上流階級の4姉妹とのことで。高飛車な話かもしれないと気構えたいたのだけど、全くの杞憂だった。
それぞれに個性の違う4姉妹を愛しいと思えれば、この小説にはハマれると思う。自分の嗜好として、女たちがやいのやいのしているだけで好きなので、存分に楽しめた。
4姉妹に限らず、細雪で描かれる人々はとても可笑しくて愛くるしい。人間臭さが全開で、愛おしくて仕方なかった。谷崎潤一郎の人間への愛と、真っ直ぐな観察眼があってこその作風だと思わされた。
決して劇的にストーリーが展開されるわけではないけど、ゆっくりと流れる時間の中で、人間が愛おしくなるような小説だった。
谷崎潤一郎はこんな作家だったのかと。純文学にはこんな小説があったのかと。新鮮な発見をした想い。少しだけ自分の純文学嫌いが解消されたかもしれない。
細雪はなんと三部作。中巻と下巻を読むのが今から楽しみ。
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- 感想投稿日 : 2020年1月22日
- 読了日 : 2020年1月22日
- 本棚登録日 : 2020年1月16日
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