細雪 (上) (新潮文庫)

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著者 : 谷崎潤一郎
  • 新潮社 (1955年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101005126

細雪 (上) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 大阪の旧家の四姉妹が繰り広げる、四季折々の物語絵巻。

    この作品を読んだころ、私は「名作って、読まなきゃいけないのかなぁ」なんて考えていた。
    というのは、高校の図書室の先生と仲良くなって、彼女に名作をもっと読むことを薦められていたからだ。
    そこで漱石とか三島とか、ちょびっと読んでみたのだが、どうにものめり込めない。
    怠け者の私は、「ああ、やっぱり私には早いんだ」と単純に考えて、名作からしばらく離れていた。

    ところが、ちょっとした偶然から(?)私の敬愛する作家である恩田陸氏が「自分の中で面白い小説」とかいう本を3冊紹介しているのを読んで、その中にこの『細雪』が挙げられていた。
    そんなわけで、名作素人の私はいきなり、上中下巻の大作の『細雪』を手に取ったわけである。

    この本は私が今まで抱いていた「名作」のイメージとは、全く違う本だった。
    まず、会話が全部関西弁というところからして驚きのはずなのだが、名作初心者の私はそんなことには全く気づかず、一文がとにかく長いことにびっくりした。
    それまではなんとなく、名文と言うのは贅肉のない簡潔でストイックな文章のことだと思い込んでいたのだ。しかし、この本ではゆらゆらとしかし不思議にたおやかな文章が、取り留めなく語られている。それが不思議と心地よく、姉妹の会話がそのまま耳に聞こえてきそうで、面白かった。
    また、人間の機微や心理描写など、じれったくなることを細々と書かない乾いた語り口にひかれた。私は基本的に、アンニュイな湿っぽい雰囲気が苦手なのである。

    というわけで、この本は初めて「名作も面白いんだ」と思うことが出来た、私にとっての記念の本なのだ。
    名作だからのめりこめなかった、というのではなく、新刊でも自分に合う合わないがあるのと同じように、名作にも相性があるだけなんだ、とこの本が気づかせてくれたのである。

  • 1948年(昭和23年)。
    しっとりとした日本情緒と、瀟洒な昭和モダンの雰囲気、双方が味わえる風雅な風俗小説。前者の象徴として雪子が、後者の象徴として妙子が配置されていて、その対比も面白い。それもステレオタイプに美化されているのではなく、内気な雪子が実は強情で口論となると舌鋒鋭かったり、怖いもの知らずにみえる妙子が案外意気地がなかったりと、人物造形がリアルで生き生きしている。世間体を気にする所や、金銭的にガッチリしている所も、関西人らしくて楽しい。幸子が桜に思いを馳せるくだりでは、日本人なら誰もが感じ入るところがあるのでは。

  • 戦争中は言論統制によって発表の場を奪われていた『細雪』だけれど、上巻はどこに差し支えがあったのかわからないのんびりホームドラマ。というか雪子がはっきりしなさすぎで驚き呆れる。上流なのか関西なのか、まったく別文化の世界。

    着飾った三姉妹が外出するシーンが、においたつようなうつくしさ。これは映画化されるのがよくわかる。あと、ウサギの耳というか足の話は、谷崎らしいなと思った。

  • なんと上中下巻それぞれ108円で古本を見つけた。それが読むきっかけ。
    こいさん?きあんちゃん?のっけから誰が誰なの???なスタートだったが、すぐになんてことなくなった。どちらかというと、上巻はのんびりしたテンポ。

  • 2・30年前に一気読み。しかも数年を経て再読。
    今また再々読。
    生涯、何度もページをめくる本ですね、きっと。

    やっぱり、映画よりこちらのほうがいい。

  • 上・中・下巻とあるが、読んでいて一度も飽きることはない。
    一文が長い。読点で文を繋いでいく。
    しかし、言葉を選び抜いている。だらだらと締りがない印象は全く受けない。文体に心地いいリズムを与えている。それが読み手を物語へと引き込む。

    関西の上流階級の姉妹達がいろんな騒動を起こす。
    見合い。結婚。出産。病気。事故。本家との反目や確執。恋愛。女性の自由・・・・。
    人物描写だけでもおもしろいが、作中に描写される季節の行事や行楽も情感がたっぷりでいい。

  • 谷崎潤一郎という文豪が、「細雪」という文豪の代表作が、とか色々言われているが、小難しとか難解ということは全くなく、素直にオモシロい!たしかに「上」「中」「下」と長いが谷崎の美文ですらすら読める。

    最初にとっとと四姉妹の名前さえ覚えてしまえばこちらのものだ!読める!

    あ、唯一、いかにもなお嬢様感(特に「雪子」の)が少しだけ鼻につくかも。それはそれでオモシロいけど。

  • 「こいさん、頼むわ。―」

  • なんて上手い描写だ、などと意識する事もなく、ふとした折に流れる文章に驚嘆する、これが小説が優れているということではないか

  • 上中下三巻。男の作家が描く女性像は大抵気に入らないのだが、谷崎は別だ。打算的で人目が気になる、でも情の深い生きものとして描き出された女性像には、よく知ってんなあとほとほと感心するしかない。無口で強情なモテキャラ雪子よりも、時に妹を憎いと思いながらつい心配してしまう幸子の方が、正直で魅力的に映る。
    日本人のあけすけさ、したたかさ、慎み深さが思い出されて、まんざら日本人も捨てたもんじゃないと思える。

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