著者の天野暢子さんは、『商談やコンペなどを成功させる「勝つ!プレゼン・テクニック」のセミナーを展開している』というお方です。
また、実際に民放キー局で番組制作等に携わっていたため、テレビ業界の演出ノウハウにも詳しいのだそう。
本書では、その経歴や知識を遺憾なく発揮されており、「短時間で多くの人に訴える」ためのテクニックが満載でした。
今回は、その中からキモとなるポイントを6つ選んでみましたので、ご覧下さい!
章 テレビに学ぶ「伝える技術」5つの原則
2章 テレビに学ぶ 1000万人に伝わる「話し方」「見せ方」のワザ
3章 テレビに学ぶ 1000万人に伝わる「演出」のワザ
4章 テレビに学ぶ 1000万人に伝わる「画面」のワザ
5章 テレビに学ぶ 1000万人に伝わる「売り込み」のワザ
6章 テレビに学ぶ 1000万人に伝わる「進行」のワザ
「何がどうした(どうなる)」を冒頭15秒以内にまとめる
◆テレビでは、まず最初に「結論」から伝えるのが王道です。
と言うのも、最初に大事なところから伝えないと、「チャンネルを変えられる」恐れがあるから。
ニュースを例に取ると、全体を要約して紹介する「リード」がそれに当たります。
そしてこの仕組みはプレゼンでも同じこと。
まずは「何が」「どうした(どうなる)」を15秒以内で話せるようにまとめてみます。15秒というのは前述したテレビの「結」にあたるリードと呼ばれる冒頭のアナウンスの長さです。
たとえば人件費が大幅に削減できるシステムの紹介ならば、
「これからご紹介するのは、人件費が2割削減できる旅費精算システムです」
と説明しましょう。
このように最初に前振りをしておけば、聞く方も安心です。
■2.ピジュアル表紙で「つかみ」を演出する
◆今まで私が体験したプレゼンでも、「表紙にビジュアルがあった」記憶はないのですが、実際には、「表紙にはこれとこれしか記載しないでください」と注釈がある場合以外は、ビジュアルを入れても問題はないそう。
いきなり表紙に「イラスト」があったら、それは確かに注目を集められそうな。
そして、大学受験におけるAO(自己推薦)入試で、必ず課せられるのが自己PR資料の提出。
これも一種の「プレゼン」と考えられますが、受験生の大半は白い表紙に「自己PR資料」と表題があって、後は受験番号と氏名だけを記載して提出しています。
ところが天野さんの手にかかるとこんなことにw
私が指導した受験生は受験する学科にちなんだユニホームを着て写真撮影し、スローガンもつけた「選挙ポスター風」の表紙を作成しました。本人の顔、入学後にやりたいことまで冒頭でビジュアルを使って強調すれば、あとに続く本文ぺージを読まなくても概要が伝えられます。
この作戦でその受験生は、「見事、超難関大学に現役合格した」とのこと。
テラスゴスww
私たちのプレゼンも、このくらいやってみるべきかも…?
■3.タイトルは「文字数」「固有名詞」「記号づかい」がポイント
◆テレビ番組同様、プレゼンや企画書でもタイトルは重要です。
天野さんが考える「テレビ式タイトルづけ」のポイントは次の3点。
(1)コンパクトな「文字数」
(2)「固有名詞」を盛り込む
(3)文字の見え方か変わる「記号づかい」
この場合において、文字数は具体的には「10文字以下」。
固有名詞は「内容がわかる具体的な単語」を盛り込むことが重要になってきます。
かといって、そもそも具体的な単語が長いと、10文字以下に収まらないので、「企画段階から記憶されやすい短いもの」を考えるのが重要なそう。
もしくは、「クチコミされやすい短縮形」を意識しておくのもいいかもしれませんね。
■4.音読み言葉とカタカナ語に要注意
◆これは「分かりやすさ」を考える上で、重要なポイントになります。
紙の資料などビジュアルで見せる文字はできるだけ短く縮めるべきですが、分かりにくい場合は口頭説明で補います。
「村上ファンドとして知られるM&Aコンサルティング社」
「非正規従業員の雇い止め、いわゆる派遣切り」
このような説明を加えれば事実が曲がることはなく、相手の理解も深まるはすです。
また、当然ですが「同音異義語」(「私立」と「市立」など)は、別の言葉に言い換えるべき。
紙の上だけで推敲していると、見落としがちなので、要注意ですね。
■5.立ち位置に気をつける
◆情報番組では、普通、キャスターが向かって右、リポーターやアシスタントが向かって左に位置しているものです。
その理由は?
これは主役(目上の人)の画面を指し示す手が、多くの人の利き手である右手にするためです。いろんな番組を見比べていて、たまにモニターの下手に立っているキャスターがいましたが、その方は左利きでした。
立ち位置が逆になると、左手で画面や図を示したり指示棒を持ったりすることになるか、あるいは聴衆に背を向けるような格好で右手で示すことになるわけです。
これはプレゼンの時にも言える話で、当然プレゼンターは、舞台の向かって右に位置するべき。
さらに右側に立つことには、こんな利点も。
横書きの場合、要旨や図解は左上からスタートしますから、模造紙などの前に立っても、説明が進むにつれて自分が右に移動していけば説明する個所を隠しません。これが逆で左に立っていると、説明したい左側をプレゼンターの体が覆ってしまうことになります。
実際に舞台に立てば、自然と右側にいそうな気もしますが、一応ご留意を。
■6.あおリキーワードをトッピングする
◆天野さんによると、プレゼンで押さえておきたいポイントとは、「お得感」「意外感」「期待感」の3つ。
このプレゼンの
「お得感」は……
「意外感」は……
「期待感」は……
というふうに書き出してみましょう。私はこれらを「つかみ三兄弟」と呼んでいますが、この3つが存在しないプレゼンには誰も興味を示してくれません。ない場合はあとづけでもいいので、考えて加えます。
さらにこれらに、「テレビらしいプラスアルファ」を加えます。
このようにして見つけた「つかみ三兄弟」に対し、テレビでは次のような「あおりキーワード」を組み合わせて、より魅力的に伝えています。
・お得……激安、無料、行列、完売、殺到、穴場
・意外……秘密、秘話、マル秘、珍〇〇、涙、潜入
・期待……話題、仰天、驚きの、豪華、絶品
いやもう、あおり感満載ww
ただ、やり過ぎは禁物ですが、「適度なあおり」は、聴衆の興味を惹くことことウケアイですから、効果的に活用したいものです。
ちなみに、今回の記事のタイトルも一部このTIPSを活用しておりますw
【感想】
◆本書を読んでみて、なるほどテレビ業界で使われているテクニックは、私たちビジネスパーソンのプレゼンでも、かなりの部分で応用可能であると感じました。
とにかくテレビは「短時間で」「積極的に理解しようとしない層」に対して、情報を伝える必要があります。
さらには、プレゼンと違って、途中でチャンネルを変えられる恐れもあるわけで。
この辺は、「コンペのプレゼン」に近いというか、もはや勝ち負けの世界かもしれません。
◆それゆえ、本書にあるテクニックを活用してプレゼンをすれば、「分かりやすく」「覚えてもらいやすい」ものになるハズ。
「ネタ」と思われた方もいらっしゃったかも知れませんが、私にはポイントの2番目の「ビジュアル表紙」はかなりツボでした。
個人的には、「ウケるプレゼン」は、結構「冒頭からハマる」ものだと思っていますのでw
他にも「あおりキーワード」なんて劇薬もサラっと出てきますし、侮れない1冊かと。
たとえば人件費が大幅に削減できるシステムの紹介ならば、「これ
からご紹介するのは、人件費が2割削減できる旅費精算システムで
す」と説明しましょう。さらにスライドや配布資料では、トップペ
ージに次のように表示します。「人件費2割削減! 最新旅費精算
システム○○○○○(製品名)」
日本三景、世界三大夜景、三高、三冠王といった決まり文句も、3
点セットだからこそ、頭に残りやすいのです
アンケート結果などトップ10のランキングをテレビ番組で紹介する
場合も、10位から4位までを足早に伝えたあとに、3位、2位、1
位だけをじっくり紹介するのが常です
通信販売の番組なら「今日の夜8時まで受けつけています」と、リ
ミットを伝えるのも常套手段です。8時という数字が入ることで、
「買うのはまた今度でいいか」と考えていた人が、「今買う」こと
になるのです
紹介するのが自分の会社なら表紙にあたる最初のスライドに社屋の
写真やロゴマークを入れる、商品を説明するならその写真をトップ
画面に持ってくる。最初にビジュアルを見せれば、そのあとに続く
口頭説明は補足程度で十分になるのです
◆テレビ局でタイトルをつけるときのポイント
1.タイトルだけで、番組内容がイメージできる
2.タイトルだけで、誰が出ている番組かが分かる
「視聴者がチャンネルを合わせるための判断材料を確実に伝えるこ
と」が、タイトルをつけるときのポイント
「朝ズバッ!」も声に出して読んでみたら、「あさずば」ですが、
漢字やカタカナに加え、記号や促音を使うことで、ビジュアルとし
て目に飛び込んでくる文字の勢いが急上昇します
◆声の出し方と効果
1.スピード……ゆっくりなら信頼される。早口なら勢いが出る
2.声の高さ……低いと安定感が出る。高いと元気の良さが伝わる
3.言葉づかい……ていねいなら信用が得られる。カジュアルなら
親しみが得られる
コミュニケーションにおいて名前で呼びかけることは、相手を巻き
込んで味方につける第一歩
「テーマカラー」を持てば、どんなときでも思い起こしてもらえる
「密着」「舞台裏」「全部見せます」で共感を集める
数年前に人気を集めたスポーツ特番「30人31脚」(テレビ朝日)も、
大会本番が盛り上がるのは、参加小学校に密着取材した特訓過程を
撮影して放送するからです
◆テレビに視聴者を引きつけるためのご利益
「お得感」「意外感」「期待感」
- 感想投稿日 : 2010年11月21日
- 本棚登録日 : 2010年11月21日
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