世界の果てでも漫画描き 1 キューバ編 (集英社クリエイティブコミックス)

  • 集英社クリエイティブ (2010年9月24日発売)
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感想 : 64

現実逃避の手段はいくつかありますが、外国に関する話を聞くのもその一つ。特に自分ではまず行けない場所の話だと、実生活や閉鎖的な自分自身が頭の遙か彼方に追いやられ、思う存分浸れます。
この作品、始めの方では「行けない」というか「行かない」国が多く取り上げられてます。キューバ、エジプト、シリア、ヨルダン、衛生状態や治安の面から遠慮したい国ばかり。しかしそこはなんたって遊牧民体質のヤマザキマリさん。本人の望む、望まないに関わらずほとんど突撃状態で入国していきます。体調を崩そうが、仕事が山積みだろうが、それぞれの国の良さを見つけ、対話し、アクシデントさえ可笑しく楽しく表現してくれる。それだけに、パルミラ遺跡やアレッポの場面では自分でもびっくりするほど胸が痛みました。作者達が会った人たちは無事なのか。当時と同じ光景はどんなに望んでも見ることは出来ないのか。このときばかりは現実に引き戻される。
しかし怖いのは、だんだん行ける気がしてくること。めげたり逃げたくなった時に「古代遺跡見に行こう」「キューバでパパスペシャル飲んでこよう」とあまりにスムーズに考えている自分にびっくりしました。まぁ、作中に出てくる場所の中では行けたとしても台湾だな…。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 漫画
感想投稿日 : 2015年10月11日
読了日 : 2015年10月11日
本棚登録日 : 2015年10月11日

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