美貌の未亡人の奇妙な依頼により、一見何の関係もないと思われた人々が「高名な造園家の死亡事件」の真相調査に巻き込まれていく。造園家は自殺したのか、他殺だったのか?
登場人物が次々と入れ替わりながら各自の視点で語られていく形式で、一人あたり10~20ページぐらいで次の語り手にバトンタッチします。このため、テンポの良い展開と、各自の支離滅裂に思える話がところどころで交差しながら共通のキーワードをちりばめることにより『何か共通の一点(=事件の真相)』を指し示している感じがにじみでていて、それはまるで万華鏡を覗いているように面白い。
そして訳文が良い。語り手が切り替わった途端、まだ登場人物の名前が出てきていないのに、出だし数行の語り口だけで「あ、このキャラに切り替わった」と判る書き分けの素晴らしさ。
メタ・ミステリー、変格、ポストモダン・ミステリー…何と言えば良いのか。このモヤモヤしつつ、ぐいぐい読ませてくれるストーリー。楽しめました。
(いわゆる、ガチな本格ではないのでそういうの求めている人には向かないかも)
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外ミステリ
- 感想投稿日 : 2011年10月18日
- 読了日 : 2011年10月18日
- 本棚登録日 : 2011年10月18日
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