手紙 (文春文庫 ひ 13-6)

著者 :
  • 文藝春秋 (2006年10月6日発売)
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東野圭吾氏が書いた『手紙』は、解説を読んでない人は是非、解説まで読んで欲しいと思った。(途中に理由は書いてあります!)

東野圭吾作品として、被害者の立場でストーリーが展開するものとしては『変身』や『さまよう刃』等があり私はいつも〝被害者の気持ちになって〟読んでいることが多かった。なので、〝加害者やその周りにいる家族たち〟の気持ちにここまで感動した作品は『手紙』が最初で最後かもしれない。

特に終章に掛けて読む手が止まらなくなるくらいに胸が熱くなるのだが、その中でも直貴がバンドを通して仲を深めた寺尾に向けて言った一言がまさにこの作品で一番重要なことを言ってると感じた。
「差別や偏見のない世界。そんなものは想像の産物でしかない。人間というのは、そういうものとも付き合っていかなきゃならない生き物なんだ」と。
更に、直貴たちは兄の剛志が居る刑務所に行き『イマジン』を歌う。
この『イマジン』は、冒頭にも言ったように解説で細かく記されており、ジョン・レノンを主人公としたドラマに対して妻オノ・ヨーコが取った行動がこの『手紙』を通して私たちが生きている社会に投げかけているのでは無いかと感じた。(本当に解説読んで欲しい……)

恋人ができても自分の兄が殺人犯という事で別れ、会社も馘首にされそうになり…と直貴にとって苦しいことが続き、自分も悲しい気持ちなったがその中でも由美子や寺尾と言った味方もいて繋がりは本当に大切だと改めて考えさせられた。また、直貴が兄から貰っていた手紙をクシャクシャにして捨ててた時も勤め先の社長の助言で何とか立ち上がろうとする姿はやはり素晴らしいものであった。



『手紙』は、由美子が直貴を思い社長に懇願する手紙、被害者に書き続けた剛志の手紙、そして直貴に毎月書いていた剛志の手紙…様々な人の手紙を読んで、涙腺崩壊よ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年3月16日
読了日 : 2024年3月16日
本棚登録日 : 2024年3月7日

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