明治の文豪から最近の作家(西加奈子)まで、〆切にまつわるエッセイなどを集めたアンソロジー。
よくぞここまでの文章を集めたな。脱帽。
それぞれの作家の〆切に関わる面白おかしいエピソードを集めたものなのかと思っていたが、様々な作家が書いた〆切に関連する文章を集めているものであった。
時代も含めて、ここまで多彩な作家を集めてアンソロジーを組み、テーマをブラさないというのは相当大変なことだと思うが、この本はそれを成し遂げている。
作家は当然誰でも文章表現をしている。そしてそれは芸術活動でありながら、経済活動でもある。〆切は芸術と経済のはざまに立つ、永遠の根源的な象徴であるからこそ、どんな作家にも共通する切り口となりえる。
この切り口をみつけ、アンソロジーを組むという着想がこの本を成功させている。
〆切が好きな作者は誰ひとりいないが、その対応方法や、表現は本当に十人十色。
また、自嘲気味であったり、なんだか余裕がありそうだったり。〆切(差し迫った脅威)に対する態度は、意外とその人の本質的な人格をしみださせるものである。
というのが分かるのが面白い。
名前は良く知っているけど、読んだことのない文豪の文章をサラサラ読めるのも魅力。
田山花袋、車谷長吉
さすが、文章が趣深い。文章に惹きつけられる。
いつかきちんと読まねば。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2018年2月5日
- 読了日 : 2018年2月4日
- 本棚登録日 : 2018年1月14日
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