〆切本

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  • 左右社 (2016年8月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865281538

〆切本の感想・レビュー・書評

  • 好きな作家が載っている。「〆切」に対してそれぞれの作家がこんな風に思っているなんて。「書けぬ、どうしても書けぬ」に、ドキドキした。
    制作に対してストイックな作家も、また良し…。

  • どんな言い訳かを流し読み。これだけ集めた編集者の執念を感じるが、さすがにこれだけあるとじっくり読む気が起きない…。森博嗣さんはやはり異色。

  • 大昔、筒井康隆の乱調文学大辞典で、締め切りに間に合わない言い訳として「梅干しも漬けずに頑張ったのだが…」と語った作家のエピソードに抱腹絶倒し未だに覚えているのですが、本書は大作家たちの書けぬ書けぬの大怨嗟大会です。生産性向上にムチが振るわれている昨今のリアル社会に対する、ある種のファンタジーとしてナイス企画!何も書かれていない原稿用紙に文字を書きつける創造物としての文学と工場や流通を巻き込む商品としての文学の側面がぶつかり合うのが締め切りというタイミング。そこで生ずる軋み音はまさに悲喜劇のメロディです。先日、ある編集者の方に「作家は狂人、読者は普通の人、編集者はその間で苦しむ」とのお話を伺ったことがありますが、その苦しみ、よく理解出来ました。巻末に向かうにつれ、締め切りこそが創造の源という指摘も増え、締め切りのクリエイティビティも感じさせてくれる本でした。最終ページにもニヤリ。

  • 有名な文豪などの「書けない」ときの言い訳が延々とまとめられている本。あまりの見苦しさに、ちょっと読んだだけでもお腹いっぱいになる。教科書に載るような著名な作家の人間らしい一面が垣間見れる。それにしても編集者など、原稿をもらう立場の人達の苦労は計り知れない。

  • 〆切に関して書かれた、著名な作家たちの言い訳やらスタンスやら、てんこもりの本。
    ーを、図書館の返却期限に追われて読む私。

     この名立たる方々に親近感を覚えずにはいられないほど、私もギリギリマスターなので、所々可笑しくて仕方がなかった。
    凡人も天才も、〆切の前に同じ!
    中には〆切に一度も間に合わなかったこともないし、余裕を持って仕上げるという猛者もいらっしゃって、それはそれで説得力、破壊力、大。
    私もこんな風になりたい、と思わせられる。

     〆切が悪かと言えば、なければないでいつまで経っても出来ないし、集中力や生産性を高めるために必要であり、逆に時間がたくさんあればいい作品が生み出せるわけでもない。
    〆切なんて破ってこそという人もいれば、仕事の依頼が来なくなるのではないか、白紙で出版される恐怖、身体の具合が悪くなるほど書けなくなる等、〆切にまつわるエピソードは人それぞれで、中でもやはり、コントみたいな言い訳が面白かったりする。
    ネタバレしたくないので、誰がどうとか一切書かないので、是非読んでみてください。
    興味のある作家のところだけ、拾い読みするような読み方でも良いと思う。

     文筆家のエピソードが多かったけれど、数名漫画家(超有名)のものもあった。漫画家編も是非作ってください。

  • 文豪、編集者、漫画家達の、様々な立場・視点からの "締め切り" を題材とした短文集。 基本的に書下ろし原稿は無く、全て、"過去に蓄積された、締め切り関係の痛切な記録" が集められただけで、これだけ密な書籍が成立することに感心。
    2/3程度読んだところで、同様の視点・表現が別著者で重なったりすると少しダレるが、著者や編集者名にまで詳しい人ならば完全に飽きずに巻末まで読めるのだろう。
    最後のページに、谷崎潤一郎の悲痛な1文が載っているのも印象的。
    表紙が面白くて、その点も◯(マル)。

  • 読書スレで見かけて興味を惹かれて図書館で借りる。
    締め切りをきちんと守る人達のエピソードから感化を得たいと思ったのに、むしろ締め切りを過ぎてもどうにも執筆できずに苦悩する作家の姿に親近感を深めた。実は私も締め切りが迫って来ないとやる気が出ないタイプでなんとかしたいと思いつつ改まらなくて大作家先生方に共感を禁じ得なかった。
    逆に常に締め切り厳守だったり早めに原稿を渡すことが当たり前になっている作家に大して、なんとなく周囲が軽んじるというエピソードになんとなく寂しいものを感じてしまった。締め切りを過ぎてようやく手渡された原稿の方が傑作と珍重され作家も畏敬の念を込めて対応されるという事実に、なんだかやりきれないものを感じた。
    「勉強意図と締め切りまでの時間的距離感が勉強時間の予測に及ぼす影響(試験までまだ時間があると回答していた参加者では、試験に対するモチベーションが高まっていた人ほど実際よりも勉強すふと楽観的に予測する傾向が見られる)」も興味深かった。

  • もー表紙から大笑いですよ!
    〆切にまつわる、様々な書き手達のエッセイや手紙を集めた一冊。
    〆切を守れない自分は何と酷い奴かと落ち込む者もあれば、〆切を迫って苦しめるような編集者は作家を殺すようなものだからそんな悪い奴の言うことなんか知るか!と開き直る者もあり。
    いずれ劣らぬ近代現代の文豪達だが、こんな一面があるのかと、親近感が湧く。
    逆に〆切絶対守る勢(少数らしいが存在する!)にもそれはそれで色々な葛藤があるらしく、〆切を破れないのがコンプレックスだったり、〆切破りなんかありえない!と憤ったり(某人気ミステリー作家です。いい怒りでした(笑))。
    笑って読んでいたが、社会心理学の一編にはドキリとした。
    覚えがあり過ぎる…!
    また、小川洋子さんには、まさかのこの本で泣かされました…。

  • 読了。一気読みはできなかった。90人以上の〆切に対する怨念の籠った本であった。宿題ができなくて、死にたくなってる高校2年8月31日の自分に贈りたい本である。

  • 興味のある作家部分だけ流し読み。

    今も昔も、書けないときの心情や言い訳の仕方、編集者との関係性含め、作家という職業は根本的には変わっていないのだなと感じた。夏目漱石でさえあーだこーだしながら書いていたと知って親近感すら覚える。
    作家という職業は浮世離れしていて人とはまた違う考えや視点を持つことのできる超人的な人物が就く仕事、と思いがちだが、「締切」という誰もが体験したことのあるゴールに向けての沢山のあるあるを通して、第一線で活躍した作家の人間性にふれられた良い本だと思った。

    個人的にはサザエさんの長谷川町子さんが一番。
    最高におもしろかった。

  • 〆切に関して作家には「井上ひさし型」と「村上春樹型」がある。なーんて、今思いついたんだけど。このお二人はそれぞれ「遅筆→〆切破り(どころか結局書けないことも)」「〆切厳守←いつも早く原稿を渡す」ことで知られている。話として面白いのは、当然ながら圧倒的に前者だろう。

    本書には実に89人もの(たぶん。「著者紹介」で数えた)方の、〆切にまつわるエッセイやら葉書やらマンガやらが収録されているが、何と言っても〆切に苦しむ(または編集者として苦しめられる)話が多い。よくもまあ、これだけ集めたものよと感心してしまう。つらつらいいわけがましい文章が連ねてあったり、平身低頭していたり、なかには開き直っているような人もいて、気の毒なような、どこか滑稽なような。結構分厚い本だが、飽きることなく楽しんで読んだ。


    田山花袋
    なかなか書けないつらさを縷々述べた後に、ふと夜中などに興が湧いてきて筆が走るときの気持ちが綴られている。
    「筆が手と心と共に走る。そのうれしさ!その力強さ!またその楽しさ!」「心は昔の書生時代にかえって行っている。暗いランプの下で、髪の毛を長くして励んだ昔の時代に…。その時には文壇もなければ、T君もなければ、世間も何もない。唯、筆と紙と心とが一緒に動いていくばかりだ」
    ああ、本当にそうなのだろうなと思って、文学史でしか知らない作家に親しみを感じた。

    内田百閒
    百閒先生、やっぱり変人である。年の瀬を迎え、あちこちに支払いをしなければならないのに、金がない。原稿を書けばいいのだが、書けない。そこで先生、奥さんの一着きりのコートを質に入れたり、知人から金を借りようと東奔西走したりする(ここでタクシーを使うところがおかしい)。結局全然うまく行かないのだが、先生いわく「やっぱり原稿を書いたりなんかするよりは、こういう活動の方が、晴れ晴れとしていて、私の性に合うと思った」だと。まったくもう。

    野坂昭如
    原稿の〆切が集中している上に、テレビ出演やら対談やらいくつも重なり、どう考えてもムリだというときに、これはもう天の配剤としか言いようのないタイミングで事故に遭い骨折して、そのおかげで原稿が書けたことがあるという。しかも二度も。野坂氏、「怪我することを潜在的にのぞんであるのではないか」と我が身を顧みていて、まあ実に壮絶である。笑っちゃうけど。

    川端康成
    代表作とされる「禽獣」は、「編集者への義理からどうしても書かねばならぬ小説の〆切が明日に迫り」「やけ気味」で「書きなぐった」ものだと書いている。「編集者の私の作品に対する愛情が感じられ、その義理に追ひ迫られないと、絶対に書けぬといふ悪習が身にしみてゐた」とも。ノーベル賞作家にして、そうなのだなあ。

    山口瞳
    「なぜ?」と題されたこの一文は読んだことがあり、よく覚えている。著者が雑誌の編集者であった頃の、三島由紀夫の思い出が綴られている。三島由紀夫は「村上春樹型」だったらしい。淡々とした一文は、「私は、三島さんという人が好きだった。感じのいい人だった。」と結ばれているが、そこには言うに言われぬ複雑な思いが沈殿しているように思われる。こういう文章を久しく読んでいないなあと思った。

    森博嗣
    この方は「村上春樹型」の最右翼。タイトルはずばり「何故、締切にルーズなのか」。〆切に遅れることを当然のことのように考える出版界の「非常識ともいえる不合理さ」を「とんでもない悪習」として舌鋒鋭く批判している。「こんなビジネスが、ほかにあるだろうか」と言われれば、お説ごもっともで、まったくその通りなのだが…。〆切より早く書く作家はなんとなく軽んじられるということも、「村上春樹型」の複数の方が書いていて、それはまったくおかしな事だとは思う。思うのだが…。やっぱり単純な「ビジネス」じ... 続きを読む

  • 過去に名を馳せた作家から現在も活躍している作家・漫画家まで、総勢90名の書き手による、〆切にまつわるあれこれ(エッセイから日記に至るまで)が詰まった読み応えある一冊です。間に合う人、間に合わない人、忘れる人、現実逃避する人などなど、本好きの方なら間違いなく楽しめます!(静内)

  • 名だたる文士の言い訳集
    書けない理由は書けるのか
    内田百間のダメさ加減よ
    でもこれを読んで村上春樹が好きになりました

  • 「風邪を引いてしまいました」
    「今度は妻が風邪を…」
    「妻のお母様が風邪を」
    「今度は猫が…」
    とか、くそみたいな言い訳で〆切をなんとか引き延してほしいと懇願する名作家諸氏の小話が盛り沢山で笑える。
    漱石も、藤村も、田山花袋も、〆切に追われながらなんとかかんとか書いてたんだなぁと思うと、なんだか急に身近な存在な気がしてくる。笑

    他にもvs編集者とのやり取りや、〆切の心理的効果、逆に〆切に遅れたことなんてない!という作家さんのお話など、とにかく〆切にまつわる色々をまとめていて面白い。

    余談ですが、これを読む少し前に村上春樹氏の「職業としての小説家」を読んでいたので、いかに彼がプロフェッショナルな小説家かというのを再認識しました。笑

  • しおりにも登場していたが内田百閒が面白すぎる。
    この本は図書館で借りたのだが、購入し手元に置いて折に触れてあちこちつまんで読むのがいい気がします。

  •  締め切りは 明日と思え 三日前

     帯に「なぜか勇気がわいてくる。」ってあるけど、勇気はわいてこないな。「こうはなるまい」って思うわ。
     どちらかと言わずとも、完全に森博嗣的思考。学生時代森を読みまくったからね。読んでも影響されないひとだっているんだから、もともと感覚的にそっちに近かったんだろう。締め切りは守れよ。ビジネスだったらなおさらだろ。芸術? 文学? そこに金銭が絡んだらビジネスだ、商売だ、約束は守れ。
     まあこっちは趣味で同人やってるし、締め切りも自分で決めるんだけど、それだってちゃんと守るし、守れるよう脳内で日数計算もするよ。基本バカだから、がばがばな計算だけど、そこを見越して余裕持って計算するもん。夏休みの宿題は、さっさと終わらせるタイプでした。
     っていってもね、自分もいつか締め切り守れないってことがあるかもしれないしね。そんなきっついことばっかりも言ってられんのもあるだろうしね。わかっててもできないひとっているわけでね。ただその場合、努力のあとが見えるか見えないかなんだなぁ。結果が出せそうもないなら、せめて経過を逐一報告しろ、仕事をしているアピールをしろ、と昔上司から教わりました。それだけで印象がだいぶ違うそうで。
     締め切りは破ってこそだとか、本気で言ってんのかね。正直好きな作家がそういうこと言ってたら読むのやめそうなので、やっぱりできるだけ作家の私的な面は見たくないなぁ。
     金井美恵子が劇的に合わないってことが分かったので、今後読むことはないでしょう。あと内田百聞がひどくて笑える。
     社会学者樋口収のは面白かった。なんで人間は締め切りまで余裕があると楽観的に考えちゃうのかっていうことに対する、心理学的な考察。
     締め切りが迫ってきててあたふたしてる文章とか、普通に読んでて面白い。発想の勝利な本。

  • 古今、〆切にまつわる、小説家を中心にした作家たちの随筆、エッセイなどをまとめた本。なので、当初想像していた「ひたすら苦悶する作家の呻き」ではなく、ある程度整って紡がれていたので、読みやすいような、肩透かしでもあるような読書だった。

    とはいえ、〆切を守らない作家、かならず守る作家、効用を語る作家等創作者ならではの視点が楽しめ、応対する編集者の苦悩も推し量れて面白い。

    ただ一番印象的だったのは、〆切を社会心理学の側面から研究している論文だった。一般人にも、言ってしまえば人生にも、〆切の効用はあるんだなぁ。

  • 〆切を最初に意識するのは、小学生の夏休みの宿題の時である。仕事に取り掛かるには気迫が必要だが、仕事をし終えるには諦めが必要である。完璧を目指すと完成しない。できるだけの努力をしたらあとは運を天に任せる。色気を捨てる。案ずるより生むはやすし。寺田寅彦は引き受けたらすぐに取り掛かり、大体のところを書いてしまったそうだ。

  • 様々な作家の〆切に関する文章等を集めた本。
    ものによっては部分だけを抜粋して、あまり意味のわからない文章になっているものもあり、少しすっきりしませんがまぁ企画勝ちの本ですね。

  • 〆切とは、何でしょうか?
    人生において、一番始めに〆切という言葉を意識するのはおそらく「小学生の夏休み」ではないか、とこの本にあります。
    なるほど、宿題を早めに終わらせ遊んだ方、ギリギリになって慌てて取りかかった方、十人十色いらっしゃいます。
    さて、世の中には多種多様な〆切がありますが、そのなかで想像しやすいのは、作家の原稿の〆切ではないでしょうか?
    あなたは、〆切と作家と聞いて、どんな様子を浮かべますか?
    「書けない、どうしても書けない。」とペンを握りしめ白紙の原稿用紙に向かっている様子でしょうか?
    〆切前に編集者の方によって缶詰にされている様子でしょうか?
    「あと2日、いや1日。」と〆切をのばして欲しいと言っている様子でしょうか?
    夏休みの宿題の取り組み方が人それぞれ違ったように、作家の数だけ色々とあるようで…。
    明治時代の文豪から現代の人気作家まで、 総勢90名による〆切にまつわるエッセイ、日記、手紙、対談等を集めたこの本。
    なかには、きっと自分とよく似た方もいるかもしれません。
    好きな作家のものを読んでみると、こんな風に書いてるんだなと、今度その方の本を手に取るとき、また違った視点でみることができるかもしれませんね。
    読んだあと、作家の方々がどこか身近に感じられる一冊です。

    ペンネーム ネコヤナギ

  • 〆切に追われているときの気持ちというのは、大作家も庶民もあまり変わらないのかな。生みだされるものには雲泥の差があるのに。

  • 〆切近くになって焦ってくると手が伸びる本。仲間を見つけて安心してしまう。しかも名だたる文筆家の「仲間」。あぶないあぶない。こっちは〆切直前とかカンヅメとかしたって、文豪たちのように才能あふれる素晴らしい文章をひねり出せるタマじゃないのに。

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