この本を作った人たちはどういう人なのか。まずそこに興味が湧いてしまった。著者名はなく、「左右社」という出版社が企画し、編集したものであるらしい。
明治から現代まで「〆切」をキーワードに、小説家、詩人、漫画家たちのエッセイや漫画、ちょっとした文章を集めるのに、どれだけの時間がかかったことだろう。
なかには、締め切りをきっちり守る方たちも収録してある。編集者にとって神様みたいなこれらの人たちは、自らを「小心者」と称して、本の中で、肩身が狭そうにしているのが面白い。
好きな作家さんの文章が面白いかと言えば必ずしもそうではなく、初めてお目にかかったお名前の方のエピソードがおもしろかったりして、どなた?となるが、巻末にちゃんと人物紹介がある。そういう発見もまた楽しい。
〆切という言葉をキーワードに、さまざまに醸されたエッセンスを汲み取ってまとめた、編集者たちの仕事に、ただただ驚く。ブックデザインから何から凝っている。活字の選び方から、載せる順番まで。紙の色まで変えてある。
奥付の後に、谷崎潤一郎が「文藝春秋」の発行遅延を言い訳する文章が1ページついているのもユーモアたっぷりだ。
そして、ブクログの皆さんのコメントがまた面白い。おかげさまでこの本を、何倍も楽しみました。
えっ・・・その2もあるの・・・。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
本の、本
- 感想投稿日 : 2022年2月11日
- 読了日 : 2022年2月11日
- 本棚登録日 : 2022年2月11日
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