いきなり表紙にびっくり!
表紙だけではない、裏表紙も、見返しも裏の見返しも!
〆切をひかえた作家の言い訳・弁解、開き直りや書けない苦悩が次から次と。本文を読む前から、笑ってしまった
そして、中を見て、またまたびっくり!
夏目漱石、谷崎潤一郎から長谷川町子、藤子不二雄、西加奈子、村上春樹まで古今の作家がずらりと勢揃い、それもまた、〆切にまつわる話ばかりで
ほとんどは、〆切が迫っているのに書けない言い訳、申し開き
嘘と丸分かりの言い訳が気の毒ではあるが、何ともかわいく感じてしまう
「タカハシさん、あの締め切りとっくに過ぎてるんですけど」
「ええ、あの、ちょっと風邪気味なもんで、今日中には」
「タカハシさん、まだですか」
「いや、風邪はなんとか治ったんですが、今度はワイフが風邪を
ひいちゃって、家事をしなくちゃいけないもので」
「タカハシさん、勘弁してくださいよ。これ以上は待てません」
「ワイフの風邪は治ったんだが、ワイフの祖母が風邪をひいたん
で、実家に看病に行ったら、その間に猫が風邪をひいちゃって
こうなると、コントだ
ある作家は、仕事のことが毎日朝から晩まで頭に重苦しくひっかかっていて、正月の餅が腹の中で消化されずにいる感じだと言うまた、ある作家は、自分で蒔いた種だからしかたがないといってしまえばそれまでだけど、締切が迫ってくるごとに寿命が縮む想いで、本当に胃と心臓にこたえる。このままゆけば「推理作家殺人事件」が起きそうだと言う
サザエさんのマンガで、伊佐坂先生の所へ編集者のノリスケさんが原稿を取りに行くシーンがあるが、夏目漱石や泉鏡花、田山花袋など、明治の文豪までが〆切に追われていたなんて考えもしなかった
それにしても、よくもこれだけの作家の〆切にまつわる話や書簡を集め、こんな本を出版したものだと、左右社にも感心してしまった
無から有を生み出す仕事、いくら才能があるとはいえ、泉のごとく次から次へと文章やアイデアが溢れでてくるわけがない
こんな苦悶の末に、紡ぎだされた文章や漫画を我々は心して読まなければならないと思った
- 感想投稿日 : 2019年11月16日
- 読了日 : 2019年11月15日
- 本棚登録日 : 2019年11月13日
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