あやし (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2003年4月25日発売)
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本棚登録 : 4410
感想 : 318
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時代小説のホラーは味わい深くていい。奉公にまつわる話なのも面白さの一つ。恩があって足を向けては寝られない。ひどくいじめられて恨んでいる。ただの職場。大事な身内。使い放題の便利な奴隷。仕える方にも雇う方にも、人それぞれ思い入れがある。
『影牢』仕打ちが悍ましすぎる。あんな死に方だけじゃ祟り足りない気もする。
『安達家の鬼』鬼はどこへ消えたのか、義母と一緒に逝ったのか、それを考えると切ない。
『女の首』ハッピーエンドでほっとした。育ての親も愛情で守ってくれていた。
『時雨鬼』もう取り返しのつかない鬼から、狭間に立とうとする少女への渾身のメッセージに思える。あたしみたいにならないで。ある日の自分に向けて言っていたのでは。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2023年3月8日
読了日 : 2023年3月8日
本棚登録日 : 2023年3月8日

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