香乱記〈4〉 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2006年4月25日発売)
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本棚登録 : 412
感想 : 28
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★2010年46冊目読了『香乱記<4>』宮城谷昌光著 評価B+
無用の殺戮で、無実の民を殺す項羽と陰謀と変化で各地の群雄を手中に収める劉邦の楚漢戦争は、中国の国土荒廃を招く。その中で、唯一清廉で真っ直ぐな生き方を貫く田横。斉の相国として、短い安寧の時期を送るが、結局、漢の高祖となる劉邦の計略に敗れ、田氏の斉は滅ぶこととなるが、田横は漢に従うことを最後まで良しとせず、潔く自決する道を選ぶ。
これまでの項羽を悪者、劉邦を良く描く正史の解釈をとらず、両者とも汚辱にまみれた侵略者または征服者として、対極に立つ善政の賢者として田横を描く面白い物語でした。いつもの息切れる宮城谷の物語ではなく、最後まで緊張感のある良い作品であると感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史小説
感想投稿日 : 2010年8月1日
読了日 : 2010年7月31日
本棚登録日 : 2010年7月31日

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