ツーリストの帰還(下) (ハヤカワ文庫NV)

  • 早川書房 (2013年11月8日発売)
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本棚登録 : 23
感想 : 3
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ツーリストとは、CIAのもっともダーティーな私設極秘機関「ツーリズム」のエージェントのこと。ツーリストであるが故の苦悩がこってり描かれる。上司と部下だったり、同僚だったり、あるいは偽名キャラの自分自身だったり。それと並行して展開していくのが、国家間を行き来する大掛かりな策略。この策略がなかなか凝った入れ子プランになっており、上巻はひたすら風呂敷を拡げるに終始するが、下巻に入ってからの怒涛の展開は一読の価値あり。

前作ではミロの物語という印象だったが、本作品ではどちらかというと巻き込まれ型。脇役キャラも魅力的。敵味方のボーダーラインが曖昧なのがスパイ小説の面白い部分よね。一対一のシーンでは常にピリピリ緊迫感。この独特の雰囲気がたまりません。

シビアなオチもいい。何のためにここまで徹底的にやるのか、っていう動機付けがシンプルなので、一周回って共感できる部分に落ち着いたように思う。フィニッシング・ストレートも気に入った。三部作で終了するのが勿体ないなあ。でもこの作者のスパイ小説が読めればそれでいいか。間違いなく今の世界のトップクラスでしょう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外ミステリ
感想投稿日 : 2013年12月30日
読了日 : 2013年12月30日
本棚登録日 : 2013年12月30日

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