百田尚樹氏のショートショート19編がおさめられた本作。
19編のストーリーそれぞれが、様々なシチュエーションを設定・描写しつつ、行を進むごとにオチに向けて登り続け、最後の頁に唯一記載された最後の一行で、ブラックジョーク的にガッツリ落とす構成です。
いずれも15頁もしくは17頁で表現されるこの構造は、ある種の形式美とも言えましょうか。
ただ、最後の頁の一行のみで落とす構成や15もしくは17頁におさめる文量といった制約のせいか、ところどころで冗長な説明・内容が見られたのは、作者のご苦労の現れでしょうか。
内容的には男女、夫婦、家族の関係や対話を描くもの。そのなかでも男女間のイロコイ話が多い印象です。
このテーマは、古来から、世間話の中心的な役割を担うテーマのうちのひとつとして、エンターテイメントの中心的な位置づけなのでしょう。
そして、さすがのストーリーテラー、百田尚樹氏。
本作においては、個人的には不倫・不貞の話がやたらと目につくようにも感じましたが、オトコとオンナの物語を、いろんな場面・いろんな展開で描いてくれる、その視点や発想力、構成力に感心します。
巻末の宮藤官九郎さんの解説もなかなか。
クドカンさんの百田氏評として、百田氏は「どんなジャンルでも、どんなスタイルでも書けるんだと思います。」というのは、『永遠の0』などを拝読した私としても大変納得するところです。
ショートショートならではの短さ。
だからこそくっきり浮き上がる、ストーリーのエッジの効いた構造や面白さ。
そして、独特のリズムや気軽さ、読みやすさ。
時折触れてみたくなる、短編やショートショートの魅力ですね。
- 感想投稿日 : 2017年2月11日
- 読了日 : 2017年2月10日
- 本棚登録日 : 2017年2月9日
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