居酒屋で起きた未解決の殺人事件の真相には、世間を震撼させる真実が隠されていた…しかし。
しかし、のあとがたいへんやるせない読後感を残す、ミステリ小説です。事件の真相を少しずつたぐりよせる刑事の執念、そして少しずつ見えてくる事件の構図。目の前まで見えていそうではっきりしない真相は、それまでの絡まった糸をほぐす過程から考えると、あまりに稚拙な動機でした。真相が稚拙という意味でなく、「こんなことでこんな立場の人間が、あまりにばかばかしいことをしでかしてくれた」という虚しさ、のようなものを感じ取ったということです。やるせない。そしてまたその事実がもっと安っぽい動機に隠されてしまう。ああもう、ほんと、悲しい。と思ったのです。
プロローグの独白はまるで犯罪予告のようで、けれどその本当の意味はエピローグでわかる。この構成が全体を引き締めているように感じました。巧いなあ。けれど、なんて悲しいかなあ…。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2014年2月26日
- 読了日 : 2014年2月24日
- 本棚登録日 : 2014年2月26日
みんなの感想をみる