震える牛

著者 :
  • 小学館 (2012年1月31日発売)
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本棚登録 : 1663
感想 : 350
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居酒屋で起きた未解決の殺人事件の真相には、世間を震撼させる真実が隠されていた…しかし。
しかし、のあとがたいへんやるせない読後感を残す、ミステリ小説です。事件の真相を少しずつたぐりよせる刑事の執念、そして少しずつ見えてくる事件の構図。目の前まで見えていそうではっきりしない真相は、それまでの絡まった糸をほぐす過程から考えると、あまりに稚拙な動機でした。真相が稚拙という意味でなく、「こんなことでこんな立場の人間が、あまりにばかばかしいことをしでかしてくれた」という虚しさ、のようなものを感じ取ったということです。やるせない。そしてまたその事実がもっと安っぽい動機に隠されてしまう。ああもう、ほんと、悲しい。と思ったのです。
プロローグの独白はまるで犯罪予告のようで、けれどその本当の意味はエピローグでわかる。この構成が全体を引き締めているように感じました。巧いなあ。けれど、なんて悲しいかなあ…。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年2月26日
読了日 : 2014年2月24日
本棚登録日 : 2014年2月26日

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