陰翳礼讃 (中公文庫 た 30-27)

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  • 中央公論新社 (1995年9月18日発売)
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【日本人の「陰」を好む心を紹介】
欧米人が、とにかく明るさを求める一方で、日本人は明るさの中に暗さを求める。
それが日本人の心であり、欧米人が言う「東洋の神秘」であると言う。

私自身が日本人として、やはり「陰翳」を好むことは否めない。
月明かりの夜や夜空に趣を感じるのは、星や月が明るくて綺麗だからでない。
むしろ、それらの光と光が生み出す陰の調和を見て、綺麗だと思うのだ。
おそらく欧米人の場合には、光だけに趣を感じるのであろう。

古来からの日本人の「陰と陽」の文化が、文化の欧米化によって、消えかけていることに谷崎潤一郎は嘆く。
紙に始まり、食器、建築、厠などが、明るさだけのものに変貌していることに対し、本書の中で愚痴をこぼすのである。

スウェーデンのデザイン学校の教科書になっているという本書。読んでみて、改めて日本人の「美」の感覚を思い出した。これからは、「陰と陽」という対局の関係を意識して生活してみたいと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会
感想投稿日 : 2012年10月1日
読了日 : 2012年10月1日
本棚登録日 : 2012年10月1日

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