スポットライトを浴びるような華やかな場所ではなく、世の中のどこかでひっそりと、ささやかな居場所とか仕事を持つ人の人生の一コマに、優しくそっと光を当てたような7つの短い物語。小川洋子さんの物語は決して俗に言う「泣ける」のを狙って書かれたものではないと思うのだけど、読むと理由もわからず泣いてしまう。表題作の『海』に出てくる架空の楽器〈鳴鱗琴〉は海からの風が吹くと鳴るというのだけれど、この本を開くと私の胸を震わせ響かせるなにかが押し寄せてくるのを感じてやまない。
どのお話しも好みだけれど、『ひよこトラック』はボロボロ泣けてしまった。一番最後の『ガイド』はどことなく『博士の愛した数式』を彷彿とさせるような深い余韻が残る。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年4月26日
- 読了日 : 2020年4月26日
- 本棚登録日 : 2020年4月20日
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