さすがにストーリーテラーの角田さん。(*^_^*) おとこ色満載のボクシングの世界を縦軸、文芸部門担当希望の夢破れたボクシング雑誌記者の話を横軸としてきっちりと見事な成長物語に!!
そっか、ひところと違ってボクシングってそんなに“成り上がれる”スポーツではなくなってるんですね。
ボクシングには全然詳しくないながら、昭和のファイティング原田、ガッツ石松、それになんといっても明日のジョーを知る世代には、ボクシングといえば、ハングリー、そして、ビッグマネーというイメージがあったのですが。
角田さんの描く当今ボクシング事情は、なんでボクシングを始めたのか、今、なんでボクシングを続けているのか、また、その目標は?などが、うんうん、そうかもね、という種々の例を挙げて、楽しかったり、苦かったりのエピソードをじっくりと読ませてもらいました。
そして、文系女子(*^_^*)としては、そんなボクサーたちよりもっと気になるのは、この物語の狂言回しである出版社勤務の空也くん。小さい時から本を読むのが好きで、リアルな友だちよりも本の世界に没頭、勉強に勉強を重ねて出版社に合格し、いつかは文芸部門でバリバリ働くぞぉ~~という夢を持っていたのに、何の因果かパッとしないボクシング雑誌に配属。左遷感を胸に、それでも文芸部門に行くためのステップとしてのみ頑張ろうと思っていた彼が、まぁ、お仕事小説の王道としていつの間にかボクシング界にのめりこみ・・・という展開で、角田さんらしい丁寧な取材を基に、ウェルメイドな読ませる物語になっていました。(*^_^*)
ただ、ネタばれになるからはっきりは書けないんだけど、途中のトラブルへの巻き込まれ方はちょっと安易だったかな。私のような素人でも、それは危ないんじゃないの??ちゃんと裏を取ったら??とハラハラしてましたもの。
ボクシングと出版社、どちらも、うんうんそうなのかもね、という角度からの面白い描かきたで楽しんで読むことができましたから、あんまり欲張って文句言うのも気がひけるんですけど。
- 感想投稿日 : 2012年11月30日
- 読了日 : 2012年11月30日
- 本棚登録日 : 2012年11月30日
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