タイムカプセルで始まり、タイムカプセルで終わるという構成が面白かった。
辻村深月さんの「タイムカプセルの八年」では、何よりも主人公の男性の造形が興味深かった。父親となっても子どもに関心のない男性の内面って、こんなふうなのか、と、とても新鮮な感じがした。考えてみれば、昭和の男性作家が描く男性はみなこんな感じだったのだが、今の時代に、女性作家によって描かれるととても新鮮で、かつ、許しがたい感じが強くなる。主人公の変化が救いだった。
万城目学さんの「トシ&シュン」は、もう、万城目ワールド全開でとても楽しかった。
米澤穂信さんの「下津山縁起」は、小松左京さんの作品を彷彿とさせるような、スケールの大きい話だった。
ラストの湊かなえさんの「長井優介へ」は、相変わらずダークな展開だなあと思いながら読んでいったのだが、ラストで思わず安堵の溜息が出た。
やっぱりラストには救いが欲しいよな、と再認識。
どれもみな、読み応えのある作品だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
新刊
- 感想投稿日 : 2014年7月12日
- 読了日 : 2014年7月11日
- 本棚登録日 : 2014年7月12日
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