敵討

著者 :
  • 新潮社 (2001年2月1日発売)
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現代のように携帯電話や気軽に写真を撮ることなどできなかった江戸時代に仇を探すだけでも相当な苦労があり、結局見つかった時にはお互い老人ということもあったとすれば、仇を何十年も追い続けるモチベーションを保ち続ける裏にはどういう心理があるのか、何故敵討ちは美談化されたのかを考えました。

敵討ちを藩に申し出て成し遂げるまで、家族への収入は途絶え、生活費や旅費にも困る状況であえて仇を探す旅に出るということは、今を生きる者よりも死んだ者の方が重要であり、つまり,現在や未来よりも過去の方が重要視された時代であったが故に敵討ちは行われたのであろうと思いました。

それは結局、平和な江戸時代であったからこそ過去を重んじる思想や学問が浸透し、敵討ちが美談化されていったのではないかと考えました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 吉村昭
感想投稿日 : 2013年4月23日
読了日 : 2007年4月23日
本棚登録日 : 2007年4月8日

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