ぼくはオーガスト、10歳だ。
ごく普通の10歳とおなじゲームを持っているし、おなじようにアイスクリームが好きだし、おなじようにボール投げをする。
でもぼくはみんなと同じ10歳の男の子ではないことは分かっている。
生まれつき「頭蓋顔面異常」という病気を持っているんだ。
外見については説明できない、誰がどう想像したってそれより酷い。
生まれたぼくを見たお医者さんと看護婦さんは慌てて隣の部屋に連れて行った。
そしてママに言ったんだ「この子は明日まで生きられないかもしれません」
でも翌日までぼくは生き延びてやっとママに会った。
ママはぼくを見て行ったよ「まあ、綺麗な目をしているわ」
それからぼくは27回の手術を受け、一度も学校へ行かずに過ごした。
そんなぼくにパパとママが言ったんだ、「オギーあなたも10歳なんだから、普通の学校へ行ってみない?とてもいい学校を見つけたのよ」
学校だって?!
みんなはぼくをみて目を伏せたり、驚いたりする。そして中にはわざといじわるする人もいるんだよ。
でもぼくは何もせずに断るわけにはいかなかったんだ…
***
映画の原作(2018年6月公開)
生まれつき顔面異常を持っている少年が、外の世界に触れ、だんだん周りの人たちも変わって行くおはなし。
章ごとに語り手が変わり、オギー少年と取り巻く子供たちの気持ちの変化や同じことを別の目線で語っています。そのため、誰かに酷いことをしてしまった場合にもその子なりの理由というものが語られます。
オギー少年は過酷は世間に晒されることもあるけれど、父母姉犬から愛され良い家族と優秀な頭脳とユーモラスさを持っています。
別の語り手になる周りの子供たちも家庭不和や無関心などの過酷さを抱えていたりして、
そんな彼らがオギー少年と関わることにより、彼の顔の下に正しい強さを見たり、彼のために自分が良い人間になりたいと思ったり…
人は自分がそうしたいと思っているより少しだけ大目に人に親切にすると世界はやさしくなってゆく。
このオギー少年の家族がまさに理想的な家族で、愛があり互いを尊重し合い理解し合うっている。
家族も友人も、それぞれの悩みを持ったり、悪い考えを持ったり、他の人に冷たい態度を取ったりしてしまうが、
結局全員が救われるというある意味人間関係の理想のような小説。
結局家族の愛と、本人の資質と心の強さ愛さが大事で…ということは分かるんだが、
じゃあ自分がここまで真っ直ぐな気持ちを持ち、行動できるかといったらかなり無理…orz
それに自分がたまたまそういう人を見たら、差別やいじめはしないけれど、やはり一瞬見て驚いたり愛想笑はしてしまうだろう…
…読んでいて息苦しくなり、なんか自己嫌悪を引き出しまくってしまった…
***追記***
同じような病気の頭蓋骨形成異常疾患(ライオン病)患者が主人公の映画を思い出したので登録。
https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/B006QJSSEO#comment
- 感想投稿日 : 2018年6月1日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2018年6月1日
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