脅迫用のテープに吹き込まれた子供の声は、幼い頃の自分だった?
グリコ・森永事件を想起させる事件を背景に、後年その謎を追う話。
視点の役が、普通の感覚の人物で好感が持てます。
京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日、父の遺品の中から古いカセットテープを見つける。
再生すると、幼い自分の声が聞こえてきたが。
その内容は、かっての有名な事件に使われた脅迫テープとまったく同じだった。
まさか、父親が犯人なのか?
驚愕した俊也は、少しずつ当時の事情を探り始めます。
一方、新聞記者の阿久津英士は、過去の重大事件の特集記事のために調査に駆り出される。
文化部なので畑違い、失敗を繰り返しつつ、いつしか真相に迫り始める‥?!
さまざまな人物が事件に色濃く絡んで登場し、思いがけない成り行きで読ませます。
やがて、俊也と阿久津の捜査が交差し‥
身近に犯行に関わった人物がいる怖さ、その正体が次第に暴かれてきて‥
単なる悪人、プロの犯罪者とは違うところにも、興味深さがあります。
当時の空気、全共闘世代にあった感覚など、こちらがまったく知らなかった、でも読んでいるとうっすらと想像はできるような。
事件を追うのが警察官などではないこともあり、すべてが赤裸々に解き明かされるのではないのですが。
十分に読み応えがあり、余韻もありました。
本屋大賞候補に上がっていたので読んでみたのですが、非常に面白かったです☆
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
国内小説
- 感想投稿日 : 2019年6月22日
- 読了日 : 2017年12月30日
- 本棚登録日 : 2019年6月22日
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