秘密 上

  • 東京創元社 (2013年12月22日発売)
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「リヴァトン館」「忘れられた花園」の作者ケイト・モートンの4作目。(邦訳3作目)
期待にたがわず、面白かったです!

2011年、イギリスで国民的女優となっているローレル・ニコルソン。
母ドロシーが入院したため、急ぎ故郷に帰って来ます。3人の妹達も相次いで集まって来ました。末の弟のジェリーは天才的な学者で、なかなか連絡が取れないが。
意識もうろうとしている母が漏らした言葉、見つかった若い頃の写真から、母が母になる前のことを何も知らなかったと気づく。
ローレルは、少女時代に起きた事件のことが気になって仕方なくなる‥

ローレルが16歳のとき、家を訪れた見知らぬ男性を母が刺した事件を、離れたところから目撃したのだ。
正当防衛が認められ、事件扱いにもならなかったのだが。
ローレルには、不審に思った点もあったのだ。

絵のように美しい農園の家<グリーンエイカーズ>を一目で気に入った両親。
綺麗で陽気で、子供達を楽しませながら育てた母。
そんな母に、どんな秘密があったのか‥

1937年、まだ少女のドロシーが家族と行った海辺で、ハンサムなジミーと密かにデートする。
ドロシーは人目を引く美しさで、演技的センスがあるが、堅苦しい両親に躾けられて、ほとんど個性を生かすことが出来ない。
恋人との結婚を無邪気に夢見、ごっこ遊びに気を紛らわしていたが‥

1941年、ロンドンに出てメイドとして働くドロシーは、女主人に気に入られていた。
戦時中のこと、国防婦人会の奉仕の仕事で、隣家の若い夫人ヴィヴィアンと知り合う。ヴィヴィアンは裕福な作家の妻だった。
ロンドンは空襲も多く、世間はざわついていた。
駆け出しカメラマンのジミーと付き合っているのだが、双方とも変わりつつある‥

少しずつ過去を掘り下げていくローレルとジェリー。
過去の出来事が交錯し、じわじわと薄紙を剥ぐように、何か大変なことが起きたのが見えてきます。
幸せなシーンがとても切ない。
危なっかしい若いドロシーが妙に魅力的で、いきいきしています。
いつ道を踏み外すかという感じなので、ハラハラしますけど。

上巻では欠けたピースがあるので、真相にはたどり着けませんが、ばらばらなシーンの魅力で持たせます。
いくつかの矛盾点がどうなるのか‥
下巻最後の4分の1で怒涛の解決☆
ネタバレは出来ませんが~後味はよかったですよ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外小説
感想投稿日 : 2014年8月2日
読了日 : 2014年7月4日
本棚登録日 : 2014年7月6日

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