久しぶりに途中で止めることができない小説に巡り合った。
登場人物それぞれの思惑、立場、感情が交錯し、息をつかせぬほどのドラマを繰り広げる。
その中でふと出会う人情や、純粋な夢に心を打たれたと思ったら、また暗雲が立ち込める。
早くハッピーエンドになってくれ、という願いをあざ笑うかのように過酷な現実が主要人物に降りかかるのだ。
これは、実際に社会で働く男たちにとって少なからず共感せずにはいられない内容だろう。
正義や野心、それぞれの中にある「軸」がどこにあるかによって、シンパシーを感じる人物は異なるように思う。
いつの間にか組織に染まったことを自覚しながらも、己の野心のために動く男や、絶望的な状況に何度もさらされ、ボロボロになりながらもすすんでいく男。
読み進めるごとに、状況が変化し、登場人物の感情が浮き彫りになっていく。
あまりのリアルさに自分もその潮流の中にいると思わされるのだ。
まとまらないのだけれど、腐敗した組織とそれに立ち向かう人情や誇りという構図に心を動かされなかったら嘘になりますよ、ということである。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2014年3月11日
- 読了日 : 2014年3月11日
- 本棚登録日 : 2014年3月11日
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