三四郎 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1948年10月27日発売)
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本棚登録 : 8338
感想 : 627
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明治の切ない恋愛話。
当時の九州片田舎と東京は今以上に格差があり上京する三四郎は戸惑いがあったろう。
列車で知り合った謎の女性の振る舞いへの冷静な対処など少し背伸びする様子が伺えた。

様々な出会いに対し終始受け身の三四郎と、常に動き回りトラブルの中心のような与次郎はとても対照的で、だからこそ三四郎の「静」が強調されているように感じた。

そんな受動的な三四郎が一目惚れのように惹かれる美彌子に対するポジティブさや様々な嫉妬はいじらしい。
三四郎の気持ちを知りつつ口数少なく切り返す様は小悪魔そのもの。

実らぬ恋の末、その美彌子を描いた絵画を見に行く三四郎の気持ちは幾ばくか。
美彌子とのキーワード、ストレイシープが唯一の救いのようだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年1月8日
読了日 : 2024年1月8日
本棚登録日 : 2024年1月8日

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