イジメを苦にして自殺してしまった<フジシュン>。
彼の遺書には、いじめを首謀していた2人の名前の他に、好きだった子と親友の名前が書いてあった。
幼なじみではあったが親友というほどの関わりはなかった真田裕だったが、告別式の時<親友にも関わらず、なぜいじめを止めなかった>とフジシュンの父に激しく感情をぶつけられる。週刊誌にも<いけにえ自殺><見殺し>とかかれた。
負わされた十字架に苦しむ20年。初めは自分も被害者だと思っていたユウだが、自分が大人になるにつれ家族の悲しみ、忘れる辛さ、、いろいろなものが見えてくる。
自分の息子が、親友ではない憧れる友達を[親友]と書いていたノートを見た時、ユウは初めてフジシュンが自分の名前を書いた理由を悟り、涙する。
十字架を自ら背負い、亡き友人やその家族の苦しみを胸に刻んで、これからを生きて行く。
<いじめを苦にした自殺>というものが、これほどまでに多くの人を傷つけ、苦しめるなど、当事者の中学生たちには想像もつかないことだろう。
20年以上にもわたる苦しみを描き切った本作は、とても重く心に響き、考えさせられた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年5月1日
- 読了日 : 2022年5月1日
- 本棚登録日 : 2021年12月16日
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