いわゆる「上申書殺人事件」を扱った犯罪ノンフィクションの傑作。事実は小説より奇なりの言葉通りの展開で一気に読んでしまった。単行本の初版が書かれたのは、事件が立件される前。したがい、上申書の対象である「先生」の本名は「文庫版でのあとがき」までは明かされず、「先生」の不気味さを醸し出している。
ノンフィクションの要となるのは上申書を提出した死刑囚と人の命をなんとも思わない土地ブローカーである「先生」の対決。両者とも共通しているのは類のない凶悪人であること。「先生」の指図によって、死刑囚が犯した3件の殺人の真相に「新潮45」の記者が迫ってゆく。
最高裁に上訴中の死刑囚が上申書を提出して、犯罪のパートナーであった「先生」の犯罪を暴いてゆくという事実が前代未聞。半信半疑が記者が、地道な取材によってだんだんと死刑囚の言葉を裏付けてゆくという過程は読んでいて快感を得た。ただ、殺人の描写はリアルすぎて読めず。映画化もされるそうだが、たぶん見ないだろう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
社会
- 感想投稿日 : 2013年7月29日
- 読了日 : 2013年7月29日
- 本棚登録日 : 2013年7月29日
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