「アサミの話しを聞きたい」
そう言って、殺された女の知り合いを訪ね歩く若い男。男と話をするうちに、皆一様に自分の事を語り始める。こんなはずじゃなかった、自分は悪くない、辛い、苦しい・・・どうしようもない、と。不満を口にする彼らに男は言う
「-死ねばいいのに」
幾人かの話の中から「アサミ」の姿を浮かび上がってくるのかといえばそうではなく、訪ね歩く男が何者でどういった関係なのかも見えてこない。あくまで語られるのは語り手自身の事であり、普段大概の人が多かれ少なかれ抱えている感情だ。それを客観的に突きつけられると、まるで自分の取り繕った仮面を剥がされていくようで居心地の悪さを感じる。
得体のしれない怖さと後味の悪さ、なのにまた読みたくなる・・・これが京極作品。
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読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2011
- 感想投稿日 : 2011年11月29日
- 読了日 : 2011年11月29日
- 本棚登録日 : 2011年11月29日
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