ひとはなぜ戦争をするのか (講談社学術文庫)

  • 講談社 (2016年6月10日発売)
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感想 : 13
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アインシュタインとフロイトによる、「戦争をなくすためにはどうすればよいか?」をテーマとした往復書簡。

2人の同意する点として、
1点目は、戦争をなくすためには、国家間の利害対立を裁く強力な権力を持った機関を協力して設立すること。
2人とも当時あった国際連盟については、そのような機関ではないと考えており、たしかに、国際連盟にはそのような権力もなく、第二次世界大戦を防ぐこともできなかった。
一方で、現在の国際連合もそこまで強力な権力があるわけでもない。

読んでいての感想として、このような機関がまた、別の暴力を生むのでは?とも思った。

2点目は、戦争がなくならないのは、人間の心に問題があるのでは、という点。
人間の心の暴力的な面が戦争を引き起こし続けているという点でも2人は同意している。

フロイトは、これら2点に加えて、なぜ(平和主義者は)戦争を嫌悪するのか?というテーマをあげて、
文化が発展してきたことにより、人間の心は変化し、戦争を嫌うようになったのではないかと考察し、文化を発展させることが戦争をなくすことにつながると結んでいる。

私たちは未だに戦争を根絶する文化を生み出せていない。
でも、まあ、あきらめることなく、目指すべきだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: A:学術(に近い)
感想投稿日 : 2023年8月15日
読了日 : 2023年8月15日
本棚登録日 : 2023年8月15日

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