文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1999年9月8日発売)
4.01
  • (1997)
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  • (12)
本棚登録 : 12990
感想 : 1192
5

読後の余韻に残ったのは、自分自身の幸せの平凡さとその温かさだった。
あらゆる場面で魍魎は人に囁き、人は境界を越えてしまう。そんな偶然の絡み合いのミステリーだった。計画性の高いパズルのような事件ではなく、人が感情の揺らぎの中で蠢いていく有機性を感じた一冊だった。
それにしても榎木津はなんとも憎めない。じめっとした重い話を掻っ攫ってくれる、乾風のようなキャラクターだと思う。このキャラクター達の絶妙なバランスも面白さのひとつだと感じている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年11月12日
読了日 : 2023年11月12日
本棚登録日 : 2023年10月18日

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コメント 2件

土瓶さんのコメント
2023/11/13

こんばんは~^^
榎木津は女性ファンが多いですねー。
ご存じかもしれませんが「百鬼徒然袋 雨」と「百鬼徒然袋 風」は百鬼夜行シリーズの外伝版で、あの榎木津を主人公にした中編集です。
各3篇ずつだったかな。
もし知らなかったらもったいないなと思ってお知らせしました。
けっこう笑えます。
できればシリーズは発売順に読んでいただくのが良いかと思いますが、よろしければ手に取ってみてください。

みねこさんのコメント
2023/11/14

土瓶さま
コメントありがとうございます。
素敵なお知らせにわくわくしました。まだシリーズ3作目を拝読中ですので、道は長いですが先が楽しみになりました。
その頃には煉瓦本の成果で手首も強くなっていそうです。
是非また、ご教示ください。

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