W/F ダブル・ファンタジー

著者 :
  • 文藝春秋 (2009年1月8日発売)
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本棚登録 : 2065
感想 : 371
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序章、主人公奈津と商売男のセックスシーンだった。性欲が強いことを自覚し、持て余している、35歳の奈津。それゆえに、30代既婚者の、売れっ子脚本家の、奈津の恋愛物語、として読み進めていた。奈津に共感できる部分もあるが、ふつうは既婚者として許されない行いも、職業の特殊性を理由に許され、許している節があるなーと思っていたら、大間違い。奈津の恋愛事情を読んでいたはずなのに、終章でガラリと変わった。
最後数行「ああ。なんて、さびしい。どこまでも自由であるとは、こんなにもさびしいことだったのかー。」
これはただの、ただの恋愛小説。私にもあなたにも経験のある恋愛そのものだと。恋い焦がれた男に数回寝て捨てられ、一度寝ただけの男に虚しさを覚え、寂しさが埋まらず、安心できる男を求め、でもまた強く惹かれる男に出会う。恋愛していると、さびしい。終章まで読んで、そんな若かりし頃の記憶がブワっと蘇った。鳥肌。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年7月8日
読了日 : 2018年7月8日
本棚登録日 : 2018年7月8日

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