大変厳しい修行を成し遂げた、お坊さんによる一冊。
以前、この方がもう一人の僧侶と対談した内容がまとめられた、『大峯千日回峰行』を読んだことがあります。
ご自身が記した本があると知り、改めて読むことにしました。
まず冒頭で、千日回峰行とはどのような行なのかが、説明されています。
“奈良県吉野山の金峯山寺蔵王堂から大峯山と呼ばれる山上ヶ岳までの片道二十四キロ、高低差千三百メートル以上の山道を十六時間かけて一日で往復し、合計四万八千キロを歩き続けるという修行です。“
フルマラソン以上の距離、しかも高低差のある山道を、5月から9月までの定められた120日あまりの期間、毎日歩き続ける。
それを9年以上の時間をかけて、合計で1000日行う。
大変厳しい行だということが、読者がイメージできるように、冒頭に書かれています。
次に、著者はどのような幼少時代を過ごし、なぜそのような行に取り組むことにしたのか。
そして、行に励んだ日々の話へと、展開していきます。
その内容を読むと、自らの体調、台風や雷といった自然現象、熊やマムシといった危険な動物、さらには不思議な現象まで、ありとあらゆる困難に遭遇したことがわかります。
そのような困難に遭いながら、なぜ行を成し遂げることができたのか。
そのような行を経験して、何を得たのか。
さまざまな側面から書かれているのですが、特に印象に残ったのは、以下のようなことでした。
・全ては自分の責任であると、覚悟してのぞむこと
・辛い経験を繰り返した先にあったのは、感謝の念だったこと
苦労を苦労と思うか、その経験に感謝するのか。
どのような状況でも、前を向いて生きていく。
精神的、肉体的に疲れている時、不平不満が溜まった時に、繰り返し読みたいなと感じた、一冊でした。
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- 感想投稿日 : 2018年8月20日
- 読了日 : 2018年8月20日
- 本棚登録日 : 2018年8月20日
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