家族八景 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1975年3月3日発売)
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本棚登録 : 5786
感想 : 640
5

ブクログさんのお薦め本です。

幸か不幸か生まれながらのテレパシーを持って、目の前の人の心をすべて読みとってしまう可愛いお手伝いさんの七瀬ー彼女は転々として移り住む八軒の住人の心にふと忍び寄ってマイホームの虚偽を快り出す。人間の心理の深層に容赦なく光りを当て、平凡な日常生活を営む小市民の猥雑な心の裏面を、コミカルな筆致で、ペーソスにまで昇華させた、恐ろしくも哀しい本である。ー文庫うらすじより

文庫うらすじを引用しましたが、非常によくまとまっていて、この本のことを「コミカルな筆致で、ペーソスにまで昇華させた、恐ろしくも哀しい本である」の「哀しい」というところに撃たれました。


私事で恐縮ですが、この本はずいぶん昔、私が高校の時から今でも交際している親友が、高校の時に「読書は苦手だけどこの七瀬の本だけは好きなの」と教えてくれた本です。
私は父親がかなりの読書好きで家に日本文学全集と世界文学全集がおいてあり、それらの近代文学はつまみ読みしていましたが(趣味は音楽と映画とピアノで全部読むほどの文学少女ではなかったです)当時、高校生の間で流行っていた本にはあまり興味も縁もなく、昔なのでネットの情報もなく(コバルト文庫とかだと思いますが)現代作家の本は、大学生になってから読みだしました。
それで、親友のAちゃんが好きな本ということで、筒井康隆さんのこのシリーズ買ったような気が確かにするのですが、読んだ記憶が全くなく(高校生の頃から積読してたのか!と思いました)今回、初読みのような気がしました。


それで、本題ですが、それにしても七瀬の派遣される家は酷い家族ばかりで、七瀬に手を出そうとするエロ親父の妄想ばかり次から次へと出てきてかなりどぎついので、私と同じ昔の高校生で奥手のAちゃんがこんな凄い、前衛的な本を好きだったとは信じられない気がしました。
続刊もあるのでまた全然違う展開になるのかもしれませんが。


そして、うらすじにある「哀しい」ということば。
人の心が読めるということは「哀しい」ことなんですね。私は、自分のことをそれ程、人に知られて恥ずかしいことを考えている人間とは思わないけれど、人の心を読める能力はない方がいいと思いました。
神さまが人間に読心術を与えなかったのは、幸いなことだと思います。
よい采配だと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年2月21日
読了日 : 2022年2月21日
本棚登録日 : 2022年2月21日

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コメント 7件

アールグレイさんのコメント
2022/02/21

まことさんこんにちは(^_^)/

家族八景、ですね。
興味が湧いてきました。早速スマホにメモしておきたいと思います。
すぐには読めそうにありません。図書館派なので、予約本が嵐の様に襲ってきます。(;・。・;) ひと言ごめんなさい(>_<)。私は気に入った本のレビューは途中までしか読まないのです。いつもそうです。
――まことさん!女性だったのですね!ずっと男性だと思っていました!
アッチャ~、大変失礼しておりました!これからもどうぞよろしく
(( ^。^)^^

まことさんのコメント
2022/02/21

ゆうママさん。こんにちは。

「家族八景」は私は文庫を買いましたが、初版が昭和47年になっていて、大変古い本なので、図書館だと、かなり年季の入った本である可能性があります。

私のことを、男性と勘違いされていたのですね。
名前で、勘違いされる方もいらっしゃいますよね。笑
こちらこそ、これからも、よろしくお願いいたします。
歳はいっていますが、ガールズトークしましょうね。

アールグレイさんのコメント
2022/02/21

まことさん、私もです!
結構、歳なのです。ブクログ歴一年の私。ゆうママという名は24の息子が、迷っている私を見かねて付けた名前です。若そうな名ですよね!アハハ

まことさんのコメント
2022/02/21

ゆうママさん。
私も名前は、ここだけの話ですがハンドルネームです。
SNSをやるのが初めてで、女性とわからなあ名前にしておいた方が安全かも、とか思ってつけました。別に女性とわかっても、何も怖いことはなかったですね。笑
本名の名前に真という漢字がつくので、平仮名で、まことにしました。

アールグレイさんのコメント
2022/02/21

まことさん、ありましたよ!
我が家の本棚はもういっぱいです。
(・o・) 文庫本が2冊ありました!2回に分けて購入しているようです。市内に図書館は4つあるのです。

まことさんのコメント
2022/02/21

ゆうママさん。
よかったですね。
レビュー楽しみにしています。
あと、この本の私のレビューはネタバレなしなので、たぶん最後まで、読まれても大丈夫だと思います。

アールグレイさんのコメント
2022/02/21

では、読ませて頂きます。

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