終末というか絶滅の寸前だろうか。とある極北の地で街の最後の生き残りとして狩りや家庭菜園での厳しい暮らしを余儀なくされている主人公の物語。
極北という環境の厳しさ、人の心の極北、私たちの行く末の極北。本当の極北には「北」というものが失われてしまう。
何故そのような状況になったのかは深く語られない。
要因が一つではないことはうっすらと今の世界の状況を見渡してもわかると思う。
この作品を村上春樹が翻訳し始めたのが2010年の夏。
チェルノブイリを思わせる土地がひとつのキーとなっているこの物語を読んで、福島の災害を思い浮かべない人はいないだろう。
「ものごとが今ある以外のものになる必要を私は認めない」という言葉が極北で主人公が唯一得たもののような気がする。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外文学
- 感想投稿日 : 2013年1月12日
- 読了日 : 2013年1月12日
- 本棚登録日 : 2013年1月12日
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