課題図書。二冊目。
人間は全ての問題を理性的に解決し得るか。
ハードな一冊だった。
序章でどのような議論をしたいかをさっと見てゆき、選択の限界・科学の限界・知識の限界と、それぞれのパートに分かれていく。
正直、読解出来たとは言えない。
が、万能である存在などない、ということか。
例えば合理的選択にしても、誰が不利益を被るか、どのような見方をするかによって、不合理な結果が出てくる。
科学も、シュレーディンガーの猫のように、観察されなければ可能性の振れ幅があること。
また、観察すると言っても、人の目には限界があって、そうした世界の推論を確定することは難しいということ。
論理的には如何なるものも真か偽かに分けることは出来ず、クリティカルに詰めていっても破綻する矛盾、ランダムがあるということ。
これらが副題である「不可能性・不確定性・不完全性」と結びついているのだと思う。
ここからスマートなレビューが出来ない所が、私の浅さなのだけど(笑)
各専門家の語る内容には、専門家故の自負と視点の固定がある。
そこには知識への自信があって、反面、その方面に特化した知識しかないという苦しさもある。
そういった人達の語りを読んでいると、絶対的な価値観?というのはないんだなぁ、という非常に手前の部分に気付かされる。
専門であることは、その道を裏返されたくない思いというのがある。
けれど、その思いが事実を隠してしまうことがある。これが、天動説と地動説のパラダイムシフトに関係してくるように、いつも思う。
理性の限界とは具体的に何を指していたのかは分からないけれど、限界があることを弁えることで、壁を見通すことが出来るのかもしれない。
- 感想投稿日 : 2017年4月16日
- 読了日 : 2017年4月16日
- 本棚登録日 : 2017年4月16日
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