ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (電撃文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2012年6月8日発売)
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感想 : 45
4

おもろいです。ずっと以前アニメおもろかったので原作もと思ってました/後に「常怠常勝の智将」と呼ばれるイクタ、自らを剣とするヤトリ、イクタすら驚愕した計画を秘めているシャミーユ皇女を軸にカトヴァーナ帝国の滅びが描かれる(たぶん)/かなしい結末が予測されるが?/ちょっと不安定なところもあるけどイクタの現実的かつ飄々とした態度などキャラと会話が魅力的/イクタの作戦も魅力のひとつ。

/幹部候補生試験に向かう船が沈没、嵐の闇夜にボートひとつで投げ出されたイクタ、ヤトリ、ハロ、マシュー、トルウェイ
/なんとか流れ着いた島は敵国キオカ共和国の領地だった
/シャミーユ姫を救った件で異例の帝国騎士の称号授与、軍人にならざるを得なくなったイクタ
/えーかげんなことと口の悪さと実技の悲惨さと女癖の悪さで士官学校での信頼を失っているイクタはそれでも飄々とした態度は崩さない
/イクタを嫌う現役士官&ヤトリ隊との模擬戦
/シャミーユ皇女の考えていたことはイクタですら驚愕するものだった
/かなしい結末を予感させる始まり方…どうなる?

■カトヴァーナ帝国についての簡単なメモ

【アナライ・カーン】史上初の「科学者」。人造精霊を作った。教団からは瀆神者扱いされている。《自然物には全て「ままならなさ」があるとおもわんか》第一巻p.334。さまざまを総称した「超古代文明論」として追究する。
【アルシャンクルト・キトラ・カトヴァンマニニク】皇帝。四十代の壮年のはずだが枯れ木を思わせる。
【アルデラ教】カトヴァーナ帝国の国教。技術立国を標榜するキオカですら国教ではないものの八割以上がアルデラ教徒。
【イクタ・ソローク】主人公。後に「常怠常勝の智将」と呼ばれる。パートナーは光精霊のクス。本当の名前はイクタ・サンクレイ。普段は怠け者で女好きのナンパ野郎で食いしん坊で呑兵衛でおちゃらけて飄々としているが必要があれば現実的で残酷にもなる。アナライの弟子の一人。アナライいわく《わしの唱えた「科学」という方法を踏襲するのみでなく、独特の哲学に昇華して実践しおった。》第一巻p.18。《僕は徒労が大嫌いで、その分、自分が怠けるための適切な努力を惜しまない》第一巻p.42。「バダ」という人物の息子? なりたくないもののトップ3は貴族、軍人、英雄だったが一度に全部を得てしまった。「子供っぽさ」「未熟さ」「若さゆえの過ち」には不思議と寛容。《イクタ・ソロークの部隊はいつだって楽に戦って楽に勝つ! 常怠常勝、怠惰上等! 僕に付いてきた奴には、ひとり残らず楽をさせてやるっ!》第一巻p.278。ヤン・ウェンリーの若い頃という感じやけど、もっと屈折してるしあれほど優しくはなく(ヤンも切り捨てるべきことは平気で切り捨てはするけど)、不安定で脆そうだ。
【イソン・ホー】叩き上げの帝国大尉。
【エアシューター/風銃】風精霊の空気圧縮能力により鉛玉を撃ち出す現代兵士の主力武装。トルウェイとマシューは難破した船から脱出するときにも抱えて持ち出した。
【科学】イクタの「科学」は《合理的で無駄のない、結果として大いに怠けられる素敵な考え方。それが科学の本質。》第一巻p.278
【カトヴァーナ帝国】教団がある。暑い国のようだ。砂漠地帯? 人口二千万人。
【キオカ共和国】技術立国を標榜する。カトヴァーナ帝国とは戦争状態。
【宮殿】王宮。三つの建物がある。黄砂堂、新緑堂、白聖堂。
【教官】士官学校の鬼教官たちは自由意志や個人の尊厳といった幻想を粉々に砕く。
【教団】アルデラ教。「全ての論理の根底には神がいなければならない」という教義を持つ。それゆえにアナライを異端とした。
【クス】イクタのパートナーである光精霊。
【黄砂堂】王宮にある建物のひとつ。国外からの客と会う。
【光虫/こうちゅう】炎も熱も伴わず光を出す虫。
【高等士官試験】幹部候補生選出試験。
【魂石/こんせき】精霊の意志の源。これがあれば教会で復活できる。
【サリハ・レミオン】トルウェイの長兄。イクタにバカにされ根に持っている。
【三人組】マッチョのアゴラ、出っ歯のコーサラ、ギョロ目のニーラ。高等士官学校でなにかとイクタに嫌がらせをしかけてくるが相手にしてもらえない。
【シア】ヤトリのパートナーである火精霊。
【シャミーユ・キトラ・カトヴァンマニニク】カトヴァーナ帝国第三皇女。幼いが先を見通し国を救おうとしている。高等士官試験に向かう船が遭難しイクタに救われた。《余は生きて帰らねばならぬ……。大樹が腐り倒れる瞬間を一秒でも早めるために、なんとしても戻らねばならぬ……。》第一巻p.119。《敗戦で国を救う。》第一巻p.327。後に「カトヴァーナ帝国最後の皇女」と呼ばれる。
【人材】何よりも重要な人材を政策の尻拭いで使い捨てているような帝国に未来はないと言える。わかっていても、軍人は従うしかない。イクタもやがて軍人になるのだろうがどう対処するのか?
【新緑堂】王宮にある建物のひとつ。臣下の奏上を聞く。
【スーラ・ミットカリフ】高等士官学校でイクタの部隊に配属された曹長。母親のアミシアは以前イクタの恋人だったようだ。
【スシュラフ・レミオン】トルウェイの次兄。寡黙で根に持つタイプではない。
【精霊】身近にいる。四大精霊としては風、水、火、光がいる。
【帝国騎士】シャミーユを救った褒章としてイクタ、ヤトリ、トルウェイ、ハロ、マシューの誤人に与えられた称号。至上の栄誉であり、一代限りだが貴族の位置づけとなる。平民が貴族になる唯一の方法。ついでに高等士官試験合格も得た。
【テトジリチ家】マシューの実家。帝国西部エボドルク州駐留部隊を預かる家柄。
【天空兵部隊】キオカ軍の新兵科。気球に乗った兵士によって編成される。地上軍しかないカトヴァーナにとっては脅威。
【東域】キオカの辺境領土だったが帝国が戦勝で入手、開拓を試みるも大失敗した。水害が多い土地。
【トルウェイ・レミオン】帝立エミル高等学校卒業生。パートナーは風精霊のサフィ。旧軍閥のレミオン家の三男。美形。どうやらヤトリに憧れているようだ。他者を愛称で呼びたがる。マシューは「マーくん」でイクタは「イッくん」。風銃使い、それも狙撃手系。兄はサリハスラグとスシュラフ。
【ナズナ】アナライの弟子。難しい話を噛み砕いて説明できる。
【ネジフ・ハルルム】生丘軍第6シチ小隊指揮官。名将ではないが堅実。
【白聖堂】王宮にある建物のひとつ。国家の功労者を称える。
【バジン】アナライの弟子。
【バダ・サンクレイ】キオカ戦役において「戦犯」とされた元大将。
【ハローマ・ベッケル】通称「ハロ」。淡い水色の髪。パートナーは水精霊のミル。ミン・ミハエラ看護学校卒業。身長百七十六センチと長身。イルフ、ショーカ、エチリという弟たちがいる。日記をつけているようだ。
【バンハタール】カトヴァーナ帝国首都。
【氷菓】カトヴァーナにとってはとても希少で魅力的なスイーツ。
【マシュー・テトジリチ】イクタやヤトリと同じシガル高等学校卒業生。パートナーは風精霊のツゥ。旧軍閥のテトジリチ家出身でその家柄に誇りを抱いているが格としてはイグセム家やレミオン家よりは低い。ヤトリやトルウェイをライバル視し、イクタにからかわれ続けている。ぽっちゃりした体系だがそれなりに動ける。風銃使い。《次はおれが勝つ。もし次がダメでも、次の次はおれが勝ってやる。……絶対にいつか、マシュー・テトジリチの本当の実力を見せてやる!》第一巻p.317
【水精霊】カラカラのカトヴァーナにとっては重要な精霊。
【ミルバキエ】アナライの弟子。極論好き。
【ヤトリシノ・イグセム】通称「ヤトリ」。帝立シガル高等学校首席卒業の優秀な軍人。旧軍閥の名家イグセム家の一員。パートナーは火精霊のシア。
【ユーカ・サンクレイ】イクタの母。今上がキオカから召し取った美女をバダに賜った。
【ヨルガ】アナライの弟子。算術に滅法強い。
【リカン】ハザーフ・リカン中将。東域鎮台(守備専用部隊と思われる)の司令長官。船の遭難で敵領土まで流された主人公たち一行を迎い入れた。人格者。東域での戦闘は負け戦だとわかっているが立場上撤退できず戦死するしかなかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 好感あり
感想投稿日 : 2024年2月15日
読了日 : 2024年2月15日
本棚登録日 : 2024年2月15日

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