文学キョーダイ‼ (文春e-book)

  • 文藝春秋 (2023年9月22日発売)
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感想 : 4
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「夕暮れに夜明けの歌を」の奈倉有理さんと「同志少女~」の逢坂冬馬さんが実の姉弟、って知ったときは確かにびっくりしたけど、もはや有名な話なのかな、そのおふたりの対談。
もっと文学文学した内容かと予想してたら、わりと意外(でもないかもしれないけど)なことに、現代日本社会の話がすごく興味深くてよかった。

おふたりの子供のころとか育った家庭の話とかは、まあそうだろうなというか、こういう姉弟が出るべくして出たというか、ご両親ともやっぱりすごく知的で文化的で現代的、っていう印象。私とは年代が20年くらい違うとはいえ、親が、好きなことをさがしさない、とか言うとか、あんまり考えられないし。

それより、おふたりとも、ファシズム化傾向にある今の日本の社会について、戦争と平和について、などについて深く真剣に考えているのが伝わってきてすごくよかった。どういうふうにファシズムというものが進んでいくのかとか、なんで日本人はデモをしないのかとか、日本のメディアの状況とか、いろいろ海外と比べて説明したり、読みやすくわかりやすいうえ、すごく考えさせられる。そういうものごとに対する、小説やエッセイや翻訳の書き手として、あるいは読み手としての立場というか、ありかたというか、私は単なる読み手だけど、なにができるだろうかとか自然に考えさせられるというか。とりあえず、もっと本を読もう、と思った。
ほんと、逢坂さんには、ご自身おっしゃっているように、これからも、小説以外でも、現代日本についてガンガン言っていただきたい!
先日、歌われなかった海賊へ」を読んだときは、小説にしてはあからさまに登場人物に著者の意見を言わせすぎ?のような気もちょっとしたんだけど、この対談読んで、言いたいんだなってことがよくわかった。いいと思う! 一方で奈倉さんは、同じ思いでも、直接的にあからさまには言わずに思いを伝えたい、という考えで、それもよくわかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年11月23日
読了日 : 2023年11月23日
本棚登録日 : 2023年11月23日

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