ちょっと風変わりなお父さんばかりが出てくる短編4本がまとめられた、中島らもの「児童書」。<br>
大人の筆力を持ちながら子どもの目線で書かなくては児童小説など作れない。簡単なことばで、世界の楽しみや広さをさりげなく伝えるなんて、優しくないと不可能だと思う。<br>
<br>あとがきも印象深い。<br>
「大人になると、だれからもしかられないと思っていたのは大まちがいで、大人もいろんなえらい人からしかられているのです。
・・・・(中略)・・・・
大人は、そんなことが子どもに知られるとかっこうがわるいから、だまっているだけだったのです。」<br>
「ただ、おもしろいのは、大人というのは子どもが大きくなって、まったく『性質』のちがう『大人』というべつの人間になるのではないということです。大人には子どもの部分がまるごと残っています。子どもにいろんな大人の要素がくっついたのが大人なのです。そう思って、きみたちのお父さんを観察してみると、このことはすぐにわかるはずです。」
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ああ、そうか。
そんな哀しみと可笑しさとがないまぜになっているから、私は彼の作品に惹かれるんだな・・・
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2007年4月4日
- 本棚登録日 : 2007年4月4日
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